娘と父のマジトーク(その9)「スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式辞を見て、生きる意味を考えた」:父と娘の週末トーク(2/3 ページ)
中学生の娘と本気で話し合うシリーズ、今回のテーマは「人間の生きる意味」。娘のリクエストでこのテーマにしたのですが、わが娘ながら、素直にすごいとほめてあげたい考えを持っていたのでした。
我が娘ながら、素直にすごいとほめてあげたい回答
娘: じゃあ、お父さんの考えを教えて。
父: その前に、サオリ自身が導いた考えを聞かせてよ。
娘: えっ! ……い、言わなきゃならない?
父: そりゃそうだよ。自分の考えは、当然あるんだよね? さあ、話してよ。
娘: (ひと呼吸置いて、ゆっくりと)人間はさ、これまで長い歴史があるじゃない? ネアンデルタール人とかがいて、原始時代があって、石器時代とか。日本では縄文、弥生時代があって、飛鳥、奈良時代、平安、鎌倉、室町時代……で、今があるわけでしょ。
父: うん。
娘: 人間が今まで生き残り続けてこられたのは、過去の人たちのおかげなんだよね。戦争や争いは何度もあったけど、仲直りしたり、反省したり、少なくとも絶滅するまでは殺し合わなかった。
父: 戦争はいまだに起きているけど、少なくとも歴史上ではすごく減ったとはいえるよね。
娘: でしょ、今があるのは、祖先の努力の結果なんだよね。
父: 確かに。
娘: だから、私も今の平成の時代じゃなくって、未来の世界の……役に立つっていうか……。
父: 発展とか、貢献?
娘: そう、貢献! 私は、未来に貢献したい。自分が未来の人のための役に立つよう、今を頑張ることが、私の生きる意味なんじゃないかっていう考えにたどり着いたの。
父: うん(目で、「もっと話して」と促す)。
娘: 人間って、歴史上ずっと戦争を繰り返しているでしょ? 戦争をゼロにすることは難しいけど、新しい知識とかアイデアを人に伝えていくことで、戦争を減らせるかもしれないじゃない。
父: いいね、どんなことができる?
娘: 学んだ知識を本にしたり、スピーチしたりして、戦争をしている人たちの心を変えていけたら、すごいことになると思うんだ。もしも世界で起きている戦争を3分の1に減らせたら、絶対に今よりいい世界になる。
父: うんうん、そうだね。
娘: 国同士の争いって、どっちが悪いのか、そもそもどうして戦っているのか、私もよく分かんない。でも、完全な正義ってないって思ってて、どっちもどっちな気がするんだよ。
父: 戦争って、そんなもんだよね。お互いが、自分こそが正しいって思い込んでるよね。
娘: 人間が争う生き物ってのは本能だし、それはこれからも変えられない。人間は、これからもあちこちでケンカをする。でも常に減らしていく努力はできるし、するべきなんだ。
父: なるほど。
娘: 戦争の直後はきっと食べ物がなくて、建物が壊されて、社会を立て直して行くのが大変。みじめな気持ちになるかもしれない。でも戦争が続いているよりかは、ずっとマシだよ。戦争の話は例えだけど、そういうことができる人間になるために私は勉強するべきなんじゃないかって。
父: ……。
娘: だから、そういう生き方を私はしたいなって……。ねえ、聞いてる?
父: (じーんと感動して)お前、よくそこまで考えたな……。尊敬するよ。
娘: えへへへ、照れるな。
父: てっきり、抽象的な言葉で、自分の幸せだけを言うんじゃないかと予想してたから。
娘: ひどーい。
父: 「自分が幸せになるため」とか「結婚していい奥さんになって、リッチな生活を」みたいな自分本位な希望か、あるいは「毎日を一生懸命生きて、周りの人に感謝するため」みたいな、いいこと言ってるようで、実は中身のない薄っぺらなことを言うんだとばかり。
娘: 私だって、時間かけてこの考えになったんだよ。
父: 利他的かつ、未来思考ってのは、我が娘ながら素直にすごいってほめてあげたい。
娘: 利他的って?
父: 自分の損失を顧みずに、他者の利益を図るような行動のことだよ。
関連記事
- 娘と父のマジトーク(その2)「お父さんがキモい理由を説明するね」
年頃の娘さんを持つ父親の大多数は、娘から「キモい」と呼ばれた経験があるでしょう。私もその1人です。なぜそう思うのか、思い切って聞いてみました。 - 女子中学生と父のガチトーク 「お父さん、アタシ告白されたんだ」
「娘が最近冷たい」「態度がよそよそしい」そんな悩みを抱えた、年頃のお嬢さんを持つお父さんは少なくないのでは? もしも、女子中学生と父親がちょっと話しにくいテーマについて深く語りあったら……を実現してみました。 - 娘と父のマジトーク(その3) 「モンスターズ・ユニバーシティを見て、小説家になりたいと思った」
「やりたいこともできずに死んでいく大人がいる。私はそんな大人にはなりたくない」。娘とのマジトーク、第3回は夢や目標について話し合ってみました。 - 娘と父のマジトーク(その4)「人と違うと不安になる」女子中学生のリアル
スタンフォード大学で人気だというオンライン講座「Positive Intelligence」を娘と受講し、その結果を交換して話し合ってみました。そこで見えてきた娘の本心とは……? - 娘と父のマジトーク(その7)「男子はいいよね、ふざけあっているうちに仲良くなれて」
中学生の娘と本気で話し合うシリーズ、今回のテーマは「友情」です。中学入学時、小学校の友達がほとんどいなかったという娘はどうやって友達を増やしたのか、そして男親にとってどうしても気になる「男友達はどうなってるんだ」あたりについて話し合ってみました。 - 本人が思う以上に高評価!? 娘から見た父親の魅力
特に思春期には微妙な関係になると言われる娘と父親。しかし父親の魅力について、父親自身が思っているより娘は好意的に感じているようだ。城西クリニック調べ。 - アフター3.11、ビジネスパーソンはどう変わった? (前編)
震災後、多くのビジネスパーソンが自らの働き方を見直し始めた。約4割の人が「仕事に対する価値観が変わった」としているが、具体的にどのように変化したのか。アンケート結果を基に、リクナビNEXTの黒田真行編集長に解説してもらった。 - お父さんの4人に1人は、「週1日以上」家族のために料理をする
世の中のお父さんは、家族のためにどのくらいの頻度で料理をつくっているのだろうか。小学生以下の子どもを持つ父親に聞いたところ、4人に1人は「週に1日以上」と回答した。日清食品ホールディングス調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.