娘と父のマジトーク(その9)「スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式辞を見て、生きる意味を考えた」:父と娘の週末トーク(3/3 ページ)
中学生の娘と本気で話し合うシリーズ、今回のテーマは「人間の生きる意味」。娘のリクエストでこのテーマにしたのですが、わが娘ながら、素直にすごいとほめてあげたい考えを持っていたのでした。
スティーブ・ジョブズの、スタンフォード大学卒業式辞を一緒に見た
父: サオリの考えと、ちょっと関係するかもしれない動画を見てほしい。
娘: どんな?
父: スティーブ・ジョブズっていう人のスピーチなんだけど。
娘: 知ってる! ピクサーを立ち上げたり、iPhoneとかリンゴマークのパソコンを作った人だよね。
父: 2005年にスタンフォード大学の卒業式でやった有名なスピーチで、YouTube上では何千万回も再生されているんだ。
娘: へええ。スタンフォード大学って、超頭がいい人しか行けない世界トップ級の大学なんだよね。
父: そう、じゃあ見てみようか。字幕に追い付けなかったら、所々で再生を止めて、補足説明するね。
父: 3つの話のうち、どれが印象的だった?
娘: 「点と点をつなぐ」ってお話。
父: ふむふむ。
娘: 今、私が毎日やってること、学校や部活や塾がほとんどだけど、そこでやってることが、いつどんなときに役に立つか分からないんだよね。
父: 因数分解とか化学式って、一見すると意味ないって思うとき、あるよね。
娘: そうなの。スティーブ・ジョブズは、カリグラフィー……だっけ? を勉強したことが、何年か後にパソコンを作るときに役立ったわけじゃない?
父: うん。
娘: だから私も、自分のしていることを、役に立つかどうかで判断しちゃダメなのかなって。
父: いちいち意味や価値について悩んでも、仕方ないってこと?
娘: うん、クヨクヨ悩んで失敗するのはもったいない。それに、線としてつながらなくても、やったことは経験になるからムダにはならないはず。
父: サオリは今は小説と絵が好きだけど、将来、小説家にも画家にもならないかもしれない。
娘: それでもかまわないよ。だって私は、自分の言葉とか物語を人に伝えて感動してほしいから書いたり、描いてるの。何のためとか、お金になるかもとか、考えたことはない。
父: 現時点で将来を見通して点と点をつなぐことはできないって話だけど、未来が不確かなまま突っ走るのって、精神的にきつくない?
娘: そりゃ、そう感じることもあるよ。でも行動しないと、何も始まらないでしょ。
父: 行動?
娘: 塾の先生に言われた言葉で、「人に差をつけたいなら、人より先に行動しろ」ってのがあるの。
父: へえ。
娘: 期末テストのときとか、普通の人が1週間前から準備するところを、私は2週間前から準備しちゃおうって。先に動けば、その分たくさん行動できるし。
父: なるほど、いい考え方だね。
娘: で、「生きる意味について」のお父さんの考えはまだ?
父: それは、次回話すことにするよ。
まとめ
娘の要望で決めたテーマだったので何かしら言いたいことをまとめているのだろうとは思っていましたが、意外にしっかりと考えていたようで、驚かされました。私が13歳だったころは、何を考えていただろう……。生きる意味の代わりに、いやらしーいことばかり考えていました(詳細はとても書けません)。まったくもって、赤面モノです。
次回はついに最終回。引き続き、「人間の生きる意味」について話し合います。
著者紹介:中山順司(なかやま・じゅんじ)
1989年、高校卒業と同時に、極寒のアイオワ州の全寮制高校に入学。唯一の日本人として七転八倒で英語を学び、1990年にCovenant College(米・Georgia州)入学。エチオピア、インド、ウガンダ、ガーナ、南アフリカ、ペルー、韓国の留学生らと共同生活を送りつつ、心理学、生物学、社会学を専攻。1994年に卒業。
白い犬で有名な某携帯電話キャリアに新卒入社し、マーケティングと営業に携わる。2000年にネット業界に転身。旅の窓口(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに入社。マーケティング、営業を経て、現在はコミュニティ・マネージャーを務める。三度の飯より、サッカーと自転車が好き。
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