娘と父のマジトーク(その10)「生きる意味を見つけていない大人っているの?」:父と娘の週末トーク・最終回(2/3 ページ)
父と娘が1つのテーマに沿ってガチで話し合う本企画。最終回は娘のリクエストで「生きる意味」について。皆さんは誰かに生きる意味を聞かれたら、どのように答えますか?
意味を見つけるのは、しんどい行為である
父: 人間の生きる意味は、よそ様から与えられるものじゃないし、人類全員が納得できる、たった1つの正解があるわけでもない。
娘: そうだね。
父: たぶん、生きる意味は、人それぞれ違うんだろうな。
娘: 例えば?
父: レスキュー隊員の生きる意味は、災害から人を救うことだったり、災害防止のために活動することだったりするよね。
娘: うん。
父: 自動車のエンジン技師の生きる意味は、人々が行きたい場所へ気軽に行き来できて、かつエコでクリーンな道具を提供することで、便利な世の中を築くことなのかな。
娘: そうやって考えると、人次第で意味はどうとでも変わるよね。
父: つまり、人間の生きる意味は、
- そもそもは存在しない(かもしれない)
- 人から与えられるものではなく、自分で見つけるもの
- 人それぞれで異なる
といえる。
娘: うーん、だんだん見えてきた気がする。
父: 1〜3を見て気づくのは、「意味を見つけるのは、しんどい行為である」ってことだね。だから、中には生きる意味を持っていない大人もいるかもしれない。見つけられないまま一生を終える人も、いるかもしれない。
娘: っていうか、きっといるんだよね? 誰にも言わないだけで。
父: 怖いね。不幸の極みだね。
娘: じゃあ、そろそろ聞かせてよ、お父さんの考える「人間の生きる意味」って何?
父: お父さんはね……「人の役に立つこと」だと思ってる。
娘: うん。(目で「それで?」と促す)
父: 役に立つ領域や方法はなんでもかまわない。自分の持つ知識、知恵、能力を、人の役に立つために使う。使うことで社会に貢献する。どうせなら、より多くの人に、大きな影響を与えられるような役立ち方をしたい。そうできるよう、努力を重ねる。それが人間の生きる意味だと思ってる。
娘: (少し間を置いて)……私のと、似てるね。
父: そうだね。人のためにって部分は、サオリと似てる。でも、サオリは「未来の人のため」って考えている分、お父さんより一歩進んでいる気はしたけど。
娘: エヘヘヘ、私のほうが、すごいってことだ(笑)。
父: あと、お父さんにはもうひとつ生きる意味がある。百聞は一見にしかずだから、このTED動画を観てほしい。
娘: どんな話?
父: ニューヨークのハドソンに飛行機が不時着したときの経験談なんだけど、「死を覚悟したときに心によぎったこと」を5分でスピーチしてる。ここで語られていることも、お父さんのもう1つの生きる意味なんだ。
リック・エリアス:不時着事故から学んだ三つのこと
動画URL http://www.ted.com/talks/ric_elias.html
2009年1月、ニューヨークを流れるハドソン川に不時着した1549便の最前列に座っていたリック・エリアス。不運に見舞われ降下を続ける機体の中で、心をよぎった思いとは。
面倒くさそうなことを、行動できるかどうか
娘: でもさ、意味は与えられるものじゃなく、自分で探すものってことは分かったけど、どうやったら見つかるんだろう? だって、こういうこと、考えている人は世の中にいっぱいいるでしょ?
父: 考えているだけじゃ、見つからないんじゃないかな。
娘: そう? 私はあれこれ考えて、見つけたつもりだけど。
父: 1週間、悩み続けても答えが出ないとき、次の1週間も同じように悩み続ければ、答えは出るかな?
娘: そりゃ、出ないよね。
父: だよね。でも、考えれば答えが出ると信じて、ひたすら考えたり悩むことに時間を費やす人もいる。
娘: でも、考えなくっちゃ、答えは見つからないでしょ。
父: こういうでっかい質問は、1人のちっぽけな脳みそだけで考えたって、見つかりっこないんだよ。
娘: じゃあ、どうすればいいの?
父: もし、1週間考え続けて答えが出なかったら、考えるのをいったんやめたら? 代わりに、1週間調べまくるんだ。本を漁る、ネットで情報を探す、関連したテレビを見る、それを1週間やってみる。
娘: うん。
父: 次の1週間は、調べるのもやめて、人に話を聞きまくる。詳しい大人を探す、イベントに行く、専門家に質問する、自分の考えをぶつけてみる、オススメの本を教えてもらう、まだ知らない情報源を尋ねる、次に会うべき人を紹介してもらう。
娘: 何かしら、行動するんだね。
父: そうやって1週間考え、1週間調べ、1週間人に会うのと、無為に3週間ウダウダ悩み続けるのとでは、まったく違った結果になると思うよ。
娘: お父さん、たまにはいいこと言うね(笑)。
父: やかましいわ。で、その2つの違いは、「面倒くさそうなことを、行動できるかどうか」なんじゃないかな。ちょうどサオリが、担任の先生や塾の先生に質問をぶつけたり、生きる意味をテーマに小説を書いてみたりしたように。
まとめると、人間の生きる意味は、
- そもそもは存在しない(かもしれない)
- 人から与えられるものではなく、自分で見つけるもの
- 人それぞれで異なる
- 行動なくして見つからない
と言えるかな。
娘: そっか。いつの間にか、私も行動してたんだ。
父: だからこそ、サオリなりの考えが導けたんじゃないの? 自分の娘を媒体上で褒めるのはナンだけど、お前が質問した大人たちより、よっぽど本質を突いているって思ったよ。
娘: 行動するって、大切なんだね。
父: 考えることしかしない人より、考えながら行動できる人の方が、求めているものがはるかに見つかりやすい。でも、行動そのものは面倒だから、ほとんどの人は「ああでもない、こうでもない」って頭の中だけで行ったり来たりするんだろう。
娘: 生きる意味を見つけるって、本当にしんどいね。
父: でもさ、すでに見つけている人たちは、自分の生きる意味を日々意識することはないだろうね。毎日が楽しくて忙しくて、立ち止まってなんかいられないはずだよ。
娘: 頭でっかちな人ほど、ムダに「生きる意味ってなんだ、なんだ」ってなっているのかもね。
父: 生きる意味なんて考えるヒマがないほど、毎日が充実して忙しい状態になりたいもんだ。
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