あれ、もうないの? コンビニで新商品の“寿命”が短い理由:ご一緒に“おでん”いかがですか(3/5 ページ)
コンビニに行って、「あれ、もう新商品がないの?」といった経験をしたことがある人も多いのでは。以前から「コンビニは商品の入れ替えサイクルが早い」と言われているが、その理由について現役オーナーが明らかにした。
商品寿命が短くなった要因
商品寿命が短くなった要因はどこにあるのだろうか。その1つに「情報伝達スピード」が関係している、と筆者は見ている。SNSなどにより、昔と比べ情報伝達スピードは格段に早くなっている。結果、消費者は「この商品が売れている」という認識が早くなり、「じゃ、一度買ってみるか」という行動パターンが生まれやすくなっている。試しに購入したものの、その商品がイマイチだと判断すれば、もう2度と買わなくなる。この一連の流れが早くなっているのだ。
もう1つの理由として、新しい味覚を感じられるモノがなくなってきたことが挙げられる。年輩の人はご記憶があるかと思うが、その昔「ナタデココ」という商品が一世を風靡した。ナタデココのヒット要因は「今までになかった食感」だった。
多くの新商品は、消費者の想像を裏切るモノではない。新しいのはパッケージや形だけということも多いので、“新しい”という理由だけで購入する人が少なくなってきているのではないだろうか。
新商品に対する購入動機が低くなっているのにも関わらず、毎週大量の新商品が出続けていることに、違和感がないわけでもない。しかしメーカー側は、パッケージだけのリニューアルでも、何もしないよりも何かしたほうがまだマシ、と考えているのだろう。
一方、店舗側にとって、パッケージ変更だけの新商品は“迷惑”な存在なのだろうか。それは違う。新商品が入ってくることで、売り場のレイアウトを変更するきっかけになるからだ。お客さんが店に入って、「お、なんだか雰囲気が変わったな」と思ってくれるだけで、何らかの効果はあるだろう。また新商品は仕入れ条件が良いので、もうけるために新商品の入れ替えスピードは早いほうがいいのだ。
関連記事
- もう振込用紙を持って来ないで! コンビニが「収納代行」を止めたい理由
「電気・水道・ガス・電話などの利用料金はコンビニで振り込んでいる」という人も多いだろう。しかしこの「収納代行」……とにかく面倒で、コンビニオーナーだけでなく本部も「止めたい」と思っているのではないだろうか。 - 年末年始のコンビニは“コロコロ”変わる――なぜそんなことができるの?
クリスマスが終わって、さあ次は正月の準備だ――そんな人も多いだろう。コンビニの売り場を見ても、今は正月100%といった感じ。昨日まではクリスマス一色だったのに、今日は正月一色に……。売り場を変幻自在に操れる背景には、一体何が? - ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。 - なぜコンビニのクリスマスケーキは売れるようになったのか――知られざる裏事情
数年ほど前から、コンビニのクリスマスケーキが売れている。理由の1つに「おいしくなった」ことが挙げられるが、それだけでもないらしい。大手コンビニの本部で働き、現在はコンビニオーナーを務める筆者が裏事情を明らかにした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.