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宮崎県 VS. 沖縄県、巨人の春季キャンプ地を巡る戦い:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/4 ページ)
2月1日からプロ野球各球団の春季キャンプが始まった。人気球団・巨人のキャンプ地をめぐって、50年以上の伝統がある宮崎と多くの球団が集まる沖縄との間でしれつな戦いが起きている。
著者プロフィール:臼北信行
日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
2014年シーズンの開幕に向けて、プロ野球12球団の春季キャンプが2月1日から一斉にスタートした。その中でもひと際注目を集めているのは、球団OBの松井秀喜氏が臨時コーチとして参加中の巨人・宮崎キャンプ。多くのファンが押し寄せ、メディアにも連日のように取り上げられていることで宮崎市にとっては経済効果の面でも大きなプラスとなっている。
ところが、同市関係者はニンマリしてばかりもいられないという。実は、この宮崎キャンプが消滅の危機に瀕しているからだ。巨人の球団関係者は声を潜めながら、こう打ち明けた。
「巨人は近い将来、沖縄へキャンプ地を完全移行したい希望を抱いている。宮崎は南国とはいえ『霧島おろし』と呼ばれる冷風が吹き、気温よりも体感温度が低い。対照的に沖縄は2月でも十分に温暖。暖かければケガをする危険性も少なくなる。だからスタッフや選手ら現場のチーム関係者は『沖縄一本でキャンプをやりたい』と口をそろえているのです」
2011年から巨人は春季キャンプを宮崎だけではなく、約2週間ずつの2段階制にして沖縄でも行うようになった。それまで50年続いていた約1カ月の宮崎キャンプの日程を削減して「撤退」をにおわせたことで、宮崎県の県庁幹部や宮崎市の関係者が大きく動揺し始めている。
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