宮崎県 VS. 沖縄県、巨人の春季キャンプ地を巡る戦い:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)
2月1日からプロ野球各球団の春季キャンプが始まった。人気球団・巨人のキャンプ地をめぐって、50年以上の伝統がある宮崎と多くの球団が集まる沖縄との間でしれつな戦いが起きている。
2週間のキャンプで20億円もの経済効果
人気球団である巨人の春季キャンプはドル箱だ。選手やコーチ、並びに球団スタッフ、それにマスコミを含めた大勢の関係者が長期滞在することでキャンプ地、宮崎市の経済が活性化するのは自明の理。そして当然、大勢のファンもキャンプを見にやって来るから期間中は宿泊施設や飲食業、さらにはタクシーからお土産屋までさまざまな業種が潤う。
同市関係者によると「年によって多少変動するが、2週間で20億円もの経済効果が生まれる」という。それを見込めるからこそ、宮崎市は県の協力を仰ぐ形で天然芝球場の「サンマリンスタジアム宮崎」(2001年開場)と雨天時練習が可能な木造型ドームの「木の花ドーム」(2004年開場)の建設に両施設あわせて100億円以上もの巨額な建設費用をかけ、春季キャンプの利便性を向上させようと先行投資までしていた。
「この2つの施設は野球以外の他のスポーツやコンサート、展示会場としての使用が可能な多目的施設だが、事実上、宮崎県と宮崎市の合同プロジェクト『ジャイアンツタウン創出事業』の一環として巨人のために作ったようなもの。巨人が宮崎キャンプを行っているから、建設にゴーサインが出された。これは、もう間違いないことです」(宮崎県庁関係者)
ところが、こうした努力とは裏腹に巨人は宮崎市からフェードアウトしようとしている。那覇市が巨人側に水面下で猛烈なアプローチを仕掛け、春季キャンプ誘致に成功すると、今度は「2週間ずつではなく、全日程を沖縄開催に」と宮崎からの強奪を目論み始めたからだ。
何ゆえに沖縄がここまでの執念をみせているのか――。その答えは、言うまでもない。「カネ」である。
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