宮崎県 VS. 沖縄県、巨人の春季キャンプ地を巡る戦い:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(3/4 ページ)
2月1日からプロ野球各球団の春季キャンプが始まった。人気球団・巨人のキャンプ地をめぐって、50年以上の伝統がある宮崎と多くの球団が集まる沖縄との間でしれつな戦いが起きている。
沖縄も毎年20億円の経済効果に鼻息荒く
りゅうぎん総合研究所が発表した(参照リンク、PDF)ところによれば、2013年の巨人・沖縄キャンプの経済効果は17億1600万円。この数字に「宮崎同様に那覇市も毎年20億円規模の経済効果が見込める。努力次第では、さらなるアップも期待できるはずだ」と鼻息を荒げている沖縄県庁幹部並びに那覇市の関係者は1人や2人ではない。
ちなみに沖縄県全体における2013年のプロ野球春季キャンプの経済効果は過去2番目に多い81億1600万円(りゅうぎん総合研究所調べ)。西武とソフトバンク以外の10球団が沖縄県内で春季キャンプを張っていることが、この数字を生み出す原動力となっている。
沖縄で春季キャンプを実施するメリットは、温暖な気候面だけではない。沖縄本島には7球団(楽天とオリックス、ロッテは離島)が集まっていることから、球団同士の日程や要望の調整が比較的容易で、オープン戦とは別に互いの球団の了解によって実施できる練習試合を積極的に組むことも可能だ。「自軍の中で紅白戦をやるより、他球団と緊張感を持ちながら実戦形式の練習をたくさん組みたい」と考える球団は数多い。それだけに、キャンプ早々から実戦をこなせる点も沖縄のセールスポイントと言っていいだろう。
「われわれとしてはジャイアンツさんに対し、気候が温暖ということだけではなく『たくさんの球団が、同じ沖縄本島内でキャンプを行っているので練習試合も組みやすく、さらには行き来が簡単なのでライバルチームを戦力分析するためのスコアラーも派遣しやすい』という利点をピーアールしました」(那覇市関係者)
一方の宮崎ではキャンプを張る球団が年々減少、あるいは日程を縮小させる傾向にある。巨人が3年前から沖縄との2段階制をスタートさせたことで現在、プロ野球春季キャンプの全日程を宮崎県内のキャンプ地で組んでいるのはソフトバンクと西武の2球団のみ。キャンプ地周辺を見渡しても対戦相手の球団が少ないから調整が難航し、練習試合の相手探しだけでも苦労を強いられてしまう。巨人関係者の面々が「それならば、いっそのこと2月1日の初日から最終日まで春季キャンプの開催地を沖縄一本にしたい」と考えるのも、確かにやむを得ないのかもしれない。
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