ゴーストライターの私はこう思う、新垣隆さんは「ゴースト」ではない:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
“現代のベートーベン”と言われた佐村河内氏に代わって、譜面を書いていた新垣隆氏。メディアは彼のことを「ゴーストライター」と呼んでいるが、本当にそうなのか。有名人の「ゴースト」を務めてきた筆者の窪田氏は、「新垣氏はゴーストではない」ときっぱり。その理由は……。
詐欺に加担したマスコミ
ミートホープのインチキやり放題の社長を元社員たちが告発をしたのは有名だが、実は当初、その告発をNHKがシカトしていた。実は今回もまったく同じ構造で、当初から音楽業界では佐村河内が自分で曲をつくっていない、という噂はあった。耳が聞こえないにしては、健常者と変わらないほどスムーズな話し方も「怪しい」と言われていた。だが、NHKはそれらの話に耳を塞いだのである。それどころか、ブレイクのきっかけとなるPR番組までつくってしまった。
「共犯者」が誰かなんて明らかじゃないかと思っていたら、23日に放送された『サンデージャポン』で女医の西川史子さんやテリー伊藤さんが「何事もなかったような顔で、仕事を続けるなんて許せない」とか「卑劣ですよ」なんてプリプリと怒っていた。
さすが芸能界のご意見番、ジャーナリストよりも鋭い視点をお持ちだと身を乗り出して聞いてみたら、お2人がキレてるのは新垣さんに対してだった。
ミートホープ事件で告発した元社員は、周囲からいびられて家族離散になった人もいた。雪印食品の食肉偽装でも告発した取引先企業「西宮冷蔵」は、感謝状をもらうどころか、営業停止に追い込まれた。
新垣さんは騒動のケジメとして自ら大学講師の職を辞したのに、まだまだ罰が足りないと騒ぐ。
詐欺に利用された弱者を叩き、詐欺に加担したマスコミに甘い。またこの国の悪いクセが出たようだ。
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