進化し続ける“定番商品”――「キットカット」の新たなブランド戦略に迫る:高級路線の展開もヒット中(2/2 ページ)
ネスレ日本が2013年の業績を発表した。「ネスカフェ」を代表とするコーヒー関連事業が主力の同社だが、最も大きな成長を遂げたのは「キットカット」だ。40周年を迎えたキットカットの売り上げが伸びた理由はどこにあるのか?
1本300円の“プレミアム”製品が1時間で売り切れる
好調なキットカットだが、2014年からは新たな取り組みが始まっている。日用品と高級品という“消費の二極化”が進むなか、高級路線のキットカットを展開しているのだ。「ル パティシエ タカギ」などを経営する有名パティシエの高木康政氏が監修するキットカットの専門店「キットカットショコラトリー」を、西武池袋本店に出店した。
2014年1月17日にオープンした同店は、連日客が殺到している。4枚で400円(税抜、以下同)というような高級な商品が並ぶが、特に1本300円のサブリムビターが最も人気で、開店から1時間ほどで売り切れるという。サブリムビターは手作業で仕上げを行っていることもあり、「1日300本程度しか用意できず、供給が追いつかない」状況だ。
「普段、百貨店でキットカットを買う人は少ない。おみやげ用のニーズが中心ということで、これまでの売り上げに加えて、新たな層にリーチできている。池袋の結果を受けて、ほかの場所でも展開するという可能性もあるが、今は商品の供給体制の強化を優先したい」(細川氏)
ユーザーに認めてもらえば、高くても買ってもらえる――そう確信し「自信を持って出店した」と細川氏は言う。業績発表会で、消費税増税が業績に与える影響について聞かれた社長の高岡氏は「大事なのはブランド。真のナショナルブランドであれば、消費税が8%だろうが10%だろうが関係ないと思っている」と答えていた。
ネスカフェもそうだが、キットカットもまた、ネスレを代表するブランドだ。既存のユーザー層を大切にしつつ、新たな層にリーチし、よりブランド力を高めようとしている。今後もキットカットの“進化”は続くだろう。
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