「想像を越えるスピード」――新ネスカフェが3カ月で25億杯出荷、成功の理由は?:新CMは“ダバダ〜”不採用(1/2 ページ)
ネスカフェがコーヒーの粉末内にコーヒー豆の粒子を含む「レギュラーソリュブルコーヒー」を全面採用してから3カ月。家庭外の消費を伸ばす施策が成功し、出荷量は増加傾向にあるという。イメージ戦略も変更し、CMのテイストもやや変化した。
われわれの想像を越えるスピードで浸透している――。
ネスレ日本(以下、ネスレ)が、すべてのネスカフェ製品をインスタントタイプの「レギュラーソリュブルコーヒー」に一新してから3カ月。レギュラーソリュブルコーヒーの累計出荷量25億カップ(1カップあたり2グラムで計算)を突破した。
レギュラーソリュブルコーヒーとは、コーヒー豆を微粉砕した粒子を、コーヒー抽出液と混ぜて乾燥させた「挽き豆包み製法」を採用したもので、カップの中でも挽きたての香りを楽しめるという。通常のインスタントコーヒーと同様にお湯を注げばすぐに飲める。
“ネスカフェ入ってる”で家庭外の消費増を狙う
同社社長の高岡浩三氏は「レギュラーソリュブルコーヒーが既存のユーザーに受け入れられるのかと不安もあったが、レギュラーコーヒー以上の味わい、という声もいただいており、胸をなで下ろしている」と述べた。3カ月で25億カップというペースは前年同期比で110%としており、この結果は「想定以上」(高岡氏)という。出荷が好調なのはなぜか。
その理由はネスレが進める飲用機会促進の施策「ネスカフェシステムインサイド」にある。これはネスレが提供するコーヒーマシン(ネスカフェシステム)を各所に提供することで、ユーザーとネスカフェの接点を増やす試みだ。
「日本では年間約480億カップのコーヒーが消費されているが、そのうち約65%が家庭、約35%が屋外で消費されている。この屋外消費のうち60%(全体の約20%)がオフィスでの消費だ。ネスカフェは家庭内とオフィス内におけるシェアを増やしていく」(高岡氏)
ネスカフェシステムインサイドは3つの施策で展開する。まずは既存の喫茶店などがネスカフェをメニューとして導入する「カフェネスカフェサテライト」。こちらは3カ月で100店舗に達したという。「全国に7万件あるという個人経営の純喫茶などにアプローチしている。3年間で1000店舗という目標を定めているが、このペースで増えれば必ず達成できる」(高岡氏)
2つめはスーパーマーケット内などにネスレのコーヒーマシンを設置して格安(50円〜100円程度)でコーヒーを提供する「カフェ イン ショップ」。こちらは1000店舗を達成しており、スーパーだけではなく、ドラッグストアや病院内の売店などでも導入されているという。
3つめはオフィスなどの施設でネスカフェ ゴールドブレンド バリスタを利用し(無償。アンケートなどに協力する必要がある)、ネスカフェを宣伝する「ネスカフェ アンバサダー」。2013年11月末の時点で10万人が応募をしており、「1年間で10万台、そして5億カップの需要を生んだ。来年以降も倍以上のスピードで導入が進むとみている」と高岡氏の鼻息も荒い。
これらの施策が実を結び、出荷数が伸びていると高岡氏は話す。「小売りへの出荷量はほぼ想定通り。一方でネスカフェシステムによる屋外消費の売れ行きは、われわれが思い描いていたよりもはるかに速いスピードで展開しており、ネスカフェのブランド力に驚いている」(高岡氏)
最近ではコンビニでの入れたてコーヒーに人気が集まったり、くら寿司がコーヒーの提供を始めるなど高品質のコーヒーを提供する流れがあるが、「ちまたではさまざまな業界がコーヒーに参入するなど活況だが、現場では需要を食い合ってしまう。今後はネスカフェシステムインサイドを通して新しい市場を切り開いていくことが、ビジョンの中心となる」と高岡氏は強調した。
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