「侍ジャパン」を常設化するもサポートが足りない日本野球機構:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/4 ページ)
日本人メジャーリーガーを呼んで「日米野球」を2014年11月に開催したいと発表した日本野球機構。だが、具体案を聞くと、そもそも実現するかどうかは今後の交渉次第だという。なぜ、このタイミングで発表したのだろうか?
著者プロフィール:臼北信行
日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
久々に「侍ジャパン」の文字がメディアを賑わせた。日本野球機構(NPB)の熊崎勝彦コミッショナーが2014年2月27日、東京・内幸町の日本記者クラブで会見し、2014年11月に「日米野球」の開催を企画していることを明かした。
日本側は、小久保裕紀監督率いる代表チームが出場し、メジャーリーグ(MLB)選抜には、日本人メジャーリーガーが参加する方向で調整を進めているという。侍ジャパンがレンジャーズ・ダルビッシュ有投手やヤンキース・田中将大投手ら人気スタークラスの加わったMLB選抜と相まみえることになれば、大きな盛り上がりを見せるのは間違いない。
実現が不透明なタイミングで会見した理由とは?
しかし、熊崎コミッショナーが会見で「5戦やるのか何戦やるのか。まだ決定したわけではない。いろいろ(MLB側と)詰めなくてはいけないところもある。でも、私個人としても是非やりたいという希望は持っている」と述べたように、本当に実現するかどうかはまだ不透明だ。いや、さすがにここまで言っておきながら「やっぱり、やりません」なんてことにはならないと信じたい。
とはいえ、周囲からは「そもそも日米野球の実現はまだ企画段階なのに、何で熊崎コミッショナーは公にしたのか」という疑問の声が少なくないのも事実。こうしたNPB側の動きの背景には、重要な収入源である侍ジャパンへの注目度を何としてでも高めようとする思惑があるようだ。
侍ジャパンの常設化がプロ野球のオーナー会議で決まったのは2011年10月。これによってNPBは大幅な収益増を見込んでおり、実際にそれなりの成果を挙げている。
2013年11月にNPBが発表した2012年度9月期(2012年10月〜2013年9月)の決算は約10億2700万円の黒字。2013年3月の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した日本代表チーム・侍ジャパン関連のビジネスで3億円以上の収益を上げ、2013年11月に台湾で行われた侍ジャパンの強化試合でも放映権料などを中心に約2億4000万円の黒字をそれぞれ計上したという。
ちなみに、ここ最近のNPBは2010年度(2010年10月から2011年9月)まで5期連続の赤字決算を計上するなど綱渡り運営を強いられていた。2011年度の決算(2011年10月から2012年9月)こそ6季ぶりに黒字へと転じたが、NPB内の意見を集約すると「これは明らかに一過性のもの」。
2011年のオフに加盟したDeNAからの加入手数料、さらに2011年の日本シリーズにコナミが新たに協賛の冠スポンサーとなって全7試合が開催されたことや、選手年金制度解散で費用が浮いたことなどが20億579万円もの黒字を生み出した要因になっていたというのだ。
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