「侍ジャパン」を常設化するもサポートが足りない日本野球機構:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)
日本人メジャーリーガーを呼んで「日米野球」を2014年11月に開催したいと発表した日本野球機構。だが、具体案を聞くと、そもそも実現するかどうかは今後の交渉次第だという。なぜ、このタイミングで発表したのだろうか?
「WBC」か「メジャーリーガー」という宣伝材料が必要
こうした泡銭ではなく、毎年もっと確実に計算できる収入源を作り出したい――。そういうNPB側の狙いもあって侍ジャパンの常設化が決まり、その目論見通りに2012年度の決算は黒字化したのである。ところが、この「侍マネー」は前途洋々と言い難い。「侍ジャパンのブランド力だけでは、必ずしももうからない」という指摘があるからだ。
もちろん侍ジャパンのブランド力は小さくはない。しかし、その収入源の大きな要素となる集客、そしてスポンサーの呼び水となるのは、やはり侍ジャパンに「メジャーリーガー」や「WBC」のキーワードがリンクすることが絶対条件。これは言わずもがなであろう。
侍ジャパンの名が世に浸透したのは、2009年開催の第2回WBCだ。イチロー(当時マリナーズ、現ヤンキース)や松坂大輔(当時レッドソックス、現メッツ)ら多くの日本人メジャーリーガーが加わった日本代表チームに「侍ジャパン」という愛称が命名され、その「華やかさ」と「強さ」によって野球ファン以外の人々にも大きなインパクトを与えた。
2013年開催の第3回大会では、頼みの綱の日本人メジャーリーガーが全員不参加。日本プロ野球のメンバーのみで構成されたが、それでも大会期間中の侍ジャパンの戦いぶりには強い関心が集まった。MLBとMLB選手会が主催のWBCには、「MLBの金もうけの温床」という疑念が付きまとうものの、何だかんだ言われても現役メジャーリーガーが多数メンバー入りした米国やドミニカ、プエルトリコ、カナダなどが参加国代表チームとして名を連ねるため、世界大会ならではのスリリングな緊迫感が生まれる。
そういうWBCで戦う侍ジャパンだからこそ、多くの人たちから注目が高まり、有力なスポンサー企業も名乗りを上げた。「だから『WBC』か、もしくは『メジャーリーガー』の宣伝材料がないと侍ジャパンのブランド力は途端に弱まる」(大手広告代理店関係者)というのである。
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