なぜアパレル業界で「工場直販」モデルがうまくいかないのか?:これからの働き方、新時代のリーダー(1/4 ページ)
低い人件費で大量生産が可能な海外工場に押され、日本の職人技を持つ国内アパレル工場が消えつつある。ファッションの世界において、なぜ工場の立場は弱かったのか。
「これからの働き方、新時代のリーダー」
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日本のアパレル品国産比率は急激に減少し、2009年には4.5%まで落ち込んでいます。その背景には、アパレル業界における工場の地位の低さが指摘されています。例えば、シャツ1枚の売価のうち、縫製工場の取り分は10〜15%。
これでは、優れた技術を持つ「メイド・イン・ジャパン」な職人が消えてしまう――。老舗婦人服店の息子だった山田敏夫さんが立ち上げたECサイト「Factelier(ファクトリエ)」は、国内アパレル工場と直接提携し、オリジナルのファクトリーブランド商品だけを取り扱います。
前編では、商社や卸業者などの中間業者を完全に排除することで、高品質な商品を最適価格で提供するビジネスモデルを紹介しました。製造を担当する「工」の部分と、デザインや販売を行う「商」の部分とで、取り分を折半しています。工場が無理なく事業を継続できる商品原価を設定し、ファクトリエはそれを2倍にして売るだけという仕組みも画期的です。
ですが、疑問も残りました。ITによって誰でも簡単にECサイトが構築できる今の世の中、なぜ、工場は直販モデルを構築できないのでしょうか? 聞き手はBusiness Media誠編集部の岡田大助(以下、敬称略)。
⇒前編:「『メイド・イン・ジャパン』の縫製工場が消えてしまう前にできることがある――ファクトリエの挑戦」
工場は、デザインやブランドを生み出せなかった
岡田: シャツメーカー、HITOYOSHIとのコラボレーションで開発した第1弾商品のビジネスモデルを聞いて、疑問に思った点があります。工場直販モデルと、ファクトリエのビジネスモデルの違いは何なのか、ということです。直販なら、工場の取り分は100%になるわけですよね?
山田: 結論からいえば、メーカーと消費者はもっともっと、直接つながるべきだと思っています。でも、工場直販ができない理由があります。
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