市販ペットボトル飲料水のうち、約半数は「ただ」の水道水:伊吹太歩の時事日想(2/3 ページ)
米国の消費者団体が調査したところによると、市販しているペットボトル飲料水のうち、約半数のブランドが水道水だという。ペットボトル飲料水を購入するのはカネの無駄か――そんな議論が世界各国で巻き起こっている。
コカ・コーラを超える売り上げのミネラルウオーター
最近、こんなニュースが米国で話題になった。ニューヨークで、ソフトドリンクにおいて世界で最も売れているコカ・コーラを超える売り上げをたたき出した飲み物があるという。
それは、長年のライバルであるペプシではない。世界最大のボトルウオーター企業、ネスレ・ウォ―ターズが販売する「ポーランド・スプリング」というミネラルウオーターだ。その売り上げは2013年で5億700万ドル。コカ・コーラの3億7400万ドルを優に越える。
出る杭が打たれるのは世界共通だ。好調の裏で、急激に売り上げを伸ばすポーランド・スプリングに関して、いろいろとネガティブな情報が噴出している。
例えば、そもそもポーランド・スプリングという名前が“詐欺に近い”という指摘がある。というのも、名前の由来となったメイン州ポーランド・スプリングにある「もともと」の水源は、今から37年前、1967年に干上がっているからだ。そして、この事実によって訴えられたネスレ・ウオーターは、1000万ドルの示談金を支払うことで和解した。
現在「ポーランド・スプリング」の中身のうち、ポーランド・スプリングという地域の水源からくみ上げた水は約3分の1だけだ。先にも述べたように、オリジナルの水源はすでに干上がっており、1本まるまる名前通りの水を入れることができない。残りはメイン州にある、いくつかの水源から水をくみ上げて混ぜている。
しかし、この事実も訴訟問題になったために明らかになっただけで、米環境NGO「環境ワーキンググループ」が2011年に公表した調査(参照リンク)では、ボトルウオーターのブランド173個のうち、18%はその中身について一切情報を提供しておらず、約3分の2は水の処置方法すら公表していない。消費者が知るべき情報が提供されていないのが現状だ。
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