自販機の一等地は「左上」? 人の視線を追いかけたら“常識”が覆った:仕事をしたら“缶コーヒー”が売れた(2/7 ページ)
自販機で缶コーヒーを買う――。日常的な行動なので、意識していない人が多いと思うが、実は自販機には隠れたノウハウがある。マシンの前に立ったとき「人は『左上』に注目する」と言われてきたが、ダイドードリンコがアイトラッキングを使って分析したところ……。
コーヒー事業を始めたきっかけ
土肥: 「目は口ほどにモノを言う」といったことわざがありますが、ダイドーは人の視線を追いかける「アイトラッキング」という技術を使って、自販機でどのエリアが注目されているのかを分析されました。その結果を受けて、主力商品の缶コーヒーを“視線を集めるエリア”に置いたところ、売り上げがアップしたそうですね。
この話を聞いたとき「へー、おもしろい」と思って、正本さんに取材をお願いしたわけですが、その前に聞きたいことがあります。そもそもどういったきっかけで、缶コーヒーを扱うようになったのでしょうか?
正本: もともとは奈良県にある「大同薬品工業」という会社に、薬剤部門と清涼飲料部門がありました。その飲料部門を切り離して「ダイドー株式会社」としてスタートしました(1984年に現在の社名)。
大同薬品工業は1956年に設立して、当時は“富山の置き薬”のように、販売員が企業や家庭を訪問して、医薬品の入った箱を配っていました。東北と北関東のガソリンスタンドに置き薬を配っていたのですが、ある日その横にコーヒーを置かせていただきました。そうすると、ドライバーが「これ、いいねえ」といった感じで、飲んでくれたんですよ。これがきっかけで、コーヒー事業を始めました。
土肥: メインは置き薬だったので、「コーヒーを売るぞ!」「缶コーヒーを広めるぞ!」といった形でスタートしたわけではなかったのですね。
ところで、ダイドーの本社は大阪。やはり、関西圏のシェアは高いのでしょうか?
正本: それがですね……弱いんですよ。
土肥: やっぱり(失礼)。私は大阪出身なので、なんとなく感じていたんですよ。「ダイドーの缶コーヒーってあまり見かけないなあ」って。なぜ関西のシェアは低いのですか?
正本: それが……よく分からないんですよ(笑)。
土肥: ちょ、「よく分からない」って……。
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