自販機の一等地は「左上」? 人の視線を追いかけたら“常識”が覆った:仕事をしたら“缶コーヒー”が売れた(6/7 ページ)
自販機で缶コーヒーを買う――。日常的な行動なので、意識していない人が多いと思うが、実は自販機には隠れたノウハウがある。マシンの前に立ったとき「人は『左上』に注目する」と言われてきたが、ダイドードリンコがアイトラッキングを使って分析したところ……。
正本: 次に下の写真を見ていただけますか? これは「ダイドーブレンド」の写真で、左がリニューアル前、右がリニューアル後ですね。
「ダイドーブレンド」の商品だと認識しやすくするように、ロゴのフラッグを大きくしました。また先ほども申し上げた通り、商品を見るときには上から下に視線を移動させることが分かったので、「微糖」という文字を大きくしました。
土肥: ふむふむ。確かに、2つの商品を比べてみると、リニューアル後のほうが分かりやすくなりましたね。以前は「ブレンド微糖」と書かれていましたが、いまは「ブレンド」が取れている。これ……編集者的に言うと「トル」で正解。商品名に「ブレンド」と書いているので、“ダブ”ってるんですよ。頭痛が痛い……のような感じ。
あと、左上の文字がなくなりましたね。客は商品を目の前にしたとき、上を見るはずなのに……。
正本: 左上の文字は取って、自販機にシールで貼り付けました。このほうが目立つので。
土肥: 自販機ではそれでいいかもしれませんが、スーパーやコンビニの棚では目立ちませんよ。シールとか貼れませんし。
正本: 左上の文字を取ったのは、流通対策でもあるんですよ。スーパーやコンビニで採用されるためには、パッケージも大事だし、容器そのものも大事だし、ブランドも大事。
土肥: 全部大事じゃないですかー。
正本: 自販機のように目立たせればいいでしょ、という世界ではありません。新商品の「ダイドーブレンド」ボトル缶では「世界一のバリスタが選んだ豆」という文字をどーんと大きくしました。
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