“リクルート流”とは何か? 中国でそれが通じた瞬間:新連載・上阪徹が探る、リクルートのリアル(4/6 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。今や売り上げは1兆円以上に。今のリクルートって、いったいどうなっているのか。第一線で活躍する“エース”たちから、今のリクルートのリアルを探る。
入社2年目、年間MVPを受賞
さらなる上司からの学びは、1年目の終わりごろだった。
「新規で大手のクライアントを獲得できたんですが、現実的な無難な予算の提案をしてしまったんです。そうしたら、烈火のごとく怒られて。『お前が勝手にお客さまの予算を判断するな』と。『営業はマックスを提案して、判断するのはお客さまなんだ』と」
2年目は年間MVPを狙った。先輩から引き継いだ会社は、年間150万円ほどの取引額しかなかった。ところが、最後には8000万円もの取引になった。取引の天井を自ら決めなかったからだ。見事、年間MVPを受賞した。
中国で事業を始めたとき、舘氏はなんとこうしたリクルート流の営業を中国人たちに提案している。
「初受注すると、いきなり握手です。最初は向こうは面食らいます。なんでいきなり社長が出てきて握手するんだ、みたいな(笑)。そうすると、顔と名前も覚えますしね」
しかも、リクルート伝統の飛び込みキャンペーンまでやってしまったらしい。
「中国はもともと社会主義経済だったので、提案営業という概念がないんです。押し売りだと思われてしまう。だから、飛び込み営業は怪しまれるんですね。でも、それが分かっていて、あえてやってみようと提案しまして(笑)」
採用した社員は、エリートも多かった。飛び込みなんて、ありえない。
「頭でっかちが多いんです。それは違うんだと話をして。朝、出陣式をし、日本と同じようにリポビタンDを渡して(笑)。上海に売ってるんです、リポD。みんなで乾杯して」
あるチームでは、そんなものは受け付けない、と拒否反応が出た。飛び込みだから、「ダイビングキャンペーン」と名付けられ、大変な抵抗を受けた。
「それでも、『とにかく1日でいいからやってみろ、営業時間なんだから』と言ってやってみたら、なんと欧州の超大企業と取引口座が開けてしまって。競合は誰もそんなことをやっていなかったからです。受付も戸惑って、人事部長につないでくれました」
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