連載
“リクルート流”とは何か? 中国でそれが通じた瞬間:新連載・上阪徹が探る、リクルートのリアル(6/6 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。今や売り上げは1兆円以上に。今のリクルートって、いったいどうなっているのか。第一線で活躍する“エース”たちから、今のリクルートのリアルを探る。
「でも、エクセルの関数もほぼ知らない。イケてない経営企画マンで。しかも、事業運営状況を各事業のトップから聞いてくる役割を持つことになり、これが大変だったんです。コーポレートから来た小僧に重要な情報なんて簡単には教えてもらえませんから。また、決断はどう行われるか、組織はどう回るか、戦略はどう作られるか。かなりハイレベルな事業経営の現場を見ました。しかも、本当にシビアな場面も多くて。経営というものの大変さを間近で見ることになりました」
いずれは起業、という目標を掲げていた。当時、28歳。現場執行の経験を積みたかった。折しも『ホットペッパー』が九州へと展開を進めていた時期。「熊本や鹿児島に行きたい」と1年前と同じように担当役員に相談した。しばらくして、役員から食事に誘われた。
「なんだかニヤニヤしていて。『もうちょっと遠いところを見つけてやったから』と」
それが、上海だった。51jobへの投資が行われていたことは知っていた。バブル崩壊で約1兆円の借金を抱えたリクルート。借金を返し終わり、とうとう投資のフェーズに入ったんだ、などと他人事に思っていた。なんと、その前線を自ら担うことになったのだ。(つづく)
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