仕事ができる人の共通点は? リクルートで働いて学んだこと:上阪徹が探る、リクルートのリアル(1/5 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。今や売り上げは1兆円以上に。今のリクルートって、いったいどうなっているのか。第一線で活躍する“エース”たちから、今のリクルートのリアルを探る。
著者プロフィール:
上阪徹(うえさか・とおる)
1966年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学商学部卒業後、リクルート・グループなどを経てフリーランスのライターとして独立し、雑誌や書籍などで執筆。経営、経済、金融、ベンチャー、就職などの最前線のビジネス現場から、トップランナーたちの仕事論を分かりやすく伝えるインタビュー、執筆を得意とする。取材相手は3000人を超える。
著書に『書いて生きていく プロ文章論』『リブセンス<生きる意味> 』『成功者3000人の言葉 人生をひらく99の基本』『職業、ブックライター』『僕がグーグルで成長できた理由』など。インタビュー集にベストセラーになった『プロ論。』など。
この20年で急激な成長を遂げたリクルート。その変化を象徴するキーワード「グローバル」「新規事業」「テクノロジー」「戦略・人材活用」「M&A」を5つのテーマに、第一線で働く現役社員に聞く。「グローバル」の第1回前編に引き続き、後編をお届けする。
35歳にして、リクルートのアジア現地法人を統括しているRGF HR Agent Groupマネージングディレクターに就いている舘康人氏。今や中国で200人、アジア全域で300人の従業員を率いる立場にある。だが入社5年目、28歳で上海での人材事業の立ち上げに加わったとき、海外にも中国にもまったく関わりはなかったという。
2002年、いずれは起業をしたい、そのための筋力が身につく会社を、とリクルートに入社。人材系の営業からキャリアをスタートさせ、MVPも獲得する。人事で10数年ぶりの中途採用に携わった後、経営企画部へ。“筋力”を得るためにも再び事業の第一線へ出たい、『ホットペッパー』の九州展開を担いたい、と希望した舘氏に、「もうちょっと遠いところを見つけてやったから」と提示されたのが、なんと上海への赴任だった。
「青天の霹靂(へきれき)ですよ。それこそ海外駐在規定なんてありませんから、3週間後に赴任、と」
1週目に当時、付き合っていた彼女にプロポーズ。翌週は実家へ挨拶に行き、次の週には両親を引き合わせ、入籍だけして上海に旅立った。中国語はもちろん、英語もできない。
「振り返ってみれば、出世したいとか、お金がほしいとか、そういうことを求めてリクルートで働いていたわけではなかったんですよね。そうじゃなくて、いろんなカードを切れる人材になっておきたかった。キャリアにおいてカードを増やすことが、20代には大事なんだと。30代で飛び立てるための筋力を付けたかった。その意味では、びっくりでしたけど、本当にありがたいチャンスでした」
関連記事
- “リクルート流”とは何か? 中国でそれが通じた瞬間
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。今や売り上げは1兆円以上に。今のリクルートって、いったいどうなっているのか。第一線で活躍する“エース”たちから、今のリクルートのリアルを探る。 - 宋文州氏が語る、日本人が「多様性」を受け入れられないワケ
日本に多様性は必要だと思いますか? こう聞かれると、ほとんどの日本人は「必要だ」と答えるはずだ。にも関わらず、なぜ日本では多様性を受け入れる考え方が広がらないのか。その疑問を、ソフトブレーン創業者の宋文州氏にぶつけてみた。 - なぜ内定をもらえない学生が出てくるのか――彼らの行動を分析した
学生の就活が本格化しているが、内定をもらえる人ともらえない人でどのような違いがあるのか。これまでよく分からなかったことが、ビッグデータで明らかになってきたという。就活生の行動を分析している、リクルートキャリアの担当者に話を聞いた。 - なぜリブセンスにできて、リクルートでできなかったのか――成果報酬型のビジネス
ネット上にアルバイト情報はたくさんあるが、ここ数年「ジョブセンス」に注目が集まっている。なぜ企業はこのサイトに広告を出し、ユーザーは応募するのか。サイトを運営している最年少上場社長・村上氏に、ビジネスモデルなどを聞いた。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - ゆとり教育で育った世代は、本当に仕事ができないのか
「若手社員が思うように育たない。その原因は“ゆとり教育”にある」と思っている人もいるだろう。しかしこの考え方は、本当に正しいのだろうか。原因は学校教育にあるのではなく、バブル崩壊以降の働き方の変化にあるのかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.