仕事ができる人の共通点は? リクルートで働いて学んだこと:上阪徹が探る、リクルートのリアル(2/5 ページ)
幅広い領域で次々とビジネスを拡大しているリクルート。今や売り上げは1兆円以上に。今のリクルートって、いったいどうなっているのか。第一線で活躍する“エース”たちから、今のリクルートのリアルを探る。
結局できる人って、同じ
51jobは、2000年に起業、2005年にナスダックに公開していた、中国の求人広告ではナンバーワンの会社だった。出資はしたものの、その先はまだ何も決まっていなかった。
「自信満々でしたよね。口は出さないでくれ、と。リクルートとしては、紙からネットへのシフトの難しさを教えたかったんですが、聞く耳を持ってもらえない。それで、こう思ったんです。われわれも自分たちで人民元を稼がないと同じ場所に立てないんじゃないか、と」
そこでジョイントベンチャーで、日系企業向けの人材紹介ビジネスをスタートさせることにした。当時のスタッフは、中国人のリーダー候補4人のみ。
「ちょうど中国は急激な経済成長中。みんな自信満々でしてね。学歴も気位も高くて」
リクルートはまだ何も実績を出せていない。「中国はこうなんだ」と力説される日々。
「でも、それは単なる1人の上海人の意見でしょ、と。まずは率先垂範しかなかったですよね。週13件営業に行くと決めて、一緒に13件回って。すると、やっぱり受注ができたりするわけです。売り上げが上がると、向こうの目線はすぐに変わりますから」
日系企業は優秀な中国人を欲していた。いい人材を見抜き、日系企業に送り込もうと力が入った。ここで思わぬ経験が生きる。人事で膨大な人数を面接した経験だ。
「結局できる人って、同じなんです。達成意欲の強さ、身体活動性。能力面でも、数学の力はパフォーマンスと相関関係が高いんですよね。あと、どのくらい粘れるか……」
しかし、紹介できる人材が足りない。そこで思いついたのが、出資した51jobと協働して人材を集めることだった。専門サイトを作って集客力を一気に高める。51jobから手数料をもらった。人材紹介の対面式のサービスは中国の労働マーケットでは新しかった。やがて大きな支持を得る。サービスを始めたのが2007年1月。51jobに手数料を支払う契約が切れた2009年9月からは、自社ライセンスで展開。利益を再投資に回せるようになった。
上海と北京から広州、深センと広がり、翌年には大連、天津、蘇州と中国全域に拡大。2012年4月からは前年から立ち上がっていた東南アジアも管轄することになった。
「実際には七転八倒でしたけどね。注意したのは“自分だからできた”と誇りにしないことです。それをやってしまうと自己満足で終わってしまう。スケールしない。汎用化できない。いかに仕組み化したり、可視化したりできるか、ということが大事。とりわけ外国人の場合、分かりやすく伝えないと伝わらない。そこは強く意識しました」
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