「人の視線+α」で○○が分かる――近未来はとにかくスゴくなりそうだ:仕事をしたら“視線”を追いかけた(2/6 ページ)
人の視線を追いかける「アイトラッキング」の技術に注目が集まっている。近年、マーケティング活動に使う企業が増えてきたが、どんなことが分かってきたのか。世界シェアトップのトビー・テクノロジー社に話を聞いた。
予約サイトのデザインを変更
土肥: 人はどこを見ている?――その行動データに、企業が注目し始めているようですね。例えば、いま缶コーヒー市場はものすごい逆風にさらされています。というのも、いわゆる“コンビニコーヒー”が台頭してきたので、缶コーヒーを扱っている会社は軒並み苦戦しているんですよ。売り上げを見ると、もう大変。対前年度比で、2割減とかの会社もあって。
そんな環境の中でも、ダイドーはわずかですが、対前年度比で増えていました。あれ? どうしてかな? と思ったら、アイトラッキングを使って、自販機の前に立つ客の視線を分析していたんですよ。客は、まず「左上」を見る。だから主力商品の缶コーヒーを「左上」に置いていた。しかも、なにも疑わずに、ずっと。しかし、人の視線を追ってみたら、左上ではなく、「左下」であることが分かった。「なんやこれ。みんな見てへんやんかー」ということで、慌てて「左下」に置いたところ、売り上げがアップしたそうです。
で、ダイドーの人に、そのアイトラッキングはどこの会社のモノなんですか? と聞いたところ「トビー・テクノロジー社」と言っていました。そこで、蜂巣社長にお聞きしたい。ダイドーのほかに、アイトラッキングをマーケティングに使った会社ってありますか?
蜂巣: 特にこの10年間、マーケティングリサーチに使われるケースが増えてきました。例えば、オランダの航空会社「KLM」は2009年に、自社のインターネット予約サイトのデザインを変更しました。予約サイトでの売り上げがなかなか伸びず、どうしたらいいのかなあと悩んでいたのです。
そこでアイトラッキングで分析したところ、ユーザーがあるプロセスでつまずいていたんですよ。それは予約サイトの「価格」と「スケジュール」の確認です。この2つの要素がページ内でも離れた場所に配置されており、ユーザーは何度も何度も往復していました。
この結果を受けて、KLMはページレイアウトを変更されました。よりユーザー中心のアプローチに変更することによって、検索から購入まで進む比率が30%も増えました。
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