「人の視線+α」で○○が分かる――近未来はとにかくスゴくなりそうだ:仕事をしたら“視線”を追いかけた(6/6 ページ)
人の視線を追いかける「アイトラッキング」の技術に注目が集まっている。近年、マーケティング活動に使う企業が増えてきたが、どんなことが分かってきたのか。世界シェアトップのトビー・テクノロジー社に話を聞いた。
土肥: イチかゼロ? どういうことでしょうか?
蜂巣: 例えば、Webサイトを見ていて、そこをクリックしたことが「イチ」、クリックしなかったことが「ゼロ」という意味ですね。他の例でいうと、ある商品を買ったことが「イチ」、買わなかったことが「ゼロ」という意味。つまり、人の視線の動きと「イチかゼロ」の相関性を分析できるようになるのではないでしょうか。
土肥: もっと具体的に教えていただけますか?
蜂巣: こういう見方をした人は「1000円で買う」、こういう見方をした人は「3000円で買う」といったことが予測できるようになるかもしれません。
土肥: ま、まさか……。人の視線を追いかけるだけで、そんなことまでは分からないでしょう。
蜂巣: 視線だけにこだわる必要はありません。例えば、発汗、体温、汗、脳波、唾液、心拍――こうした情報を一緒に分析することで、人の心が深く見えてくるでしょうね。これが実現すると、何も質問しなくても、何も選ばせなくても、「この人は『A』が好きなんだな」といった感じで分かるかもしれない。さらに分析が進むと、「この人は、今後こういうことをする」と行動予測まで分かるかもしれない。
土肥: なんだかスゴい話になってきましたが、ひょっとしてもう実験とかされていますか?
蜂巣: 一部で、始めていますね。例えば、目から入ってきた情報を、脳はどのような反応を示すのか、といった形で研究が進んでいます。脳ばかり見ても、人間が何を見たのかが分からないと、分析することは難しい。なので目と脳の研究は、今後も進んでいくでしょう。
あ、そうそう。近い将来、人の視線データはもっと大量に取得できる時代がやって来ると思います。
土肥: どういうことでしょうか?
蜂巣: すでに市販のPCの一部には、視線で画面を動かすことができる部品を供給しています。今後、PCだけでなく、他の家電製品にもこの機能が搭載されると、人の視線データがどんどん増えていく。さらに、Google Glassなどウェアラブル端末を使った人のデータも集めることができるようになると、いろいろなことが分かってくるでしょう。
土肥: 人の視線は“宝の山”ということになりますね。本日はどうもありがとうございました。
(終わり)
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