「人の視線+α」で○○が分かる――近未来はとにかくスゴくなりそうだ:仕事をしたら“視線”を追いかけた(5/6 ページ)
人の視線を追いかける「アイトラッキング」の技術に注目が集まっている。近年、マーケティング活動に使う企業が増えてきたが、どんなことが分かってきたのか。世界シェアトップのトビー・テクノロジー社に話を聞いた。
近未来の世界はこうなる
土肥: 少し意地悪な質問をさせください。企業がアイトラッキングを使ってさまざま形で利用されているようですが、ある部分を見ている時間が長いからといってそれに興味を示しているとは限らないですよね。ひょっとしたら、「なんだこれ。ないわ〜」といった感じで、見ているかもしれない。つまり、ネガティブに見ているかもしれないのに、企業は「お! ユーザーはこの部分を長く見ている! じゃあ、ココを強調したデザインに……」となると逆効果になりますよね。
蜂巣: それはアイトラッキングの“弱点”ですね。例えば、目の前にハンバーグが出てきた。アイトラッキングで分析したところ、お客さんはそのハンバーグをじっと見ている。だからといって、その人が「おいしそう」と感じているのか、「まずそう」と感じているのか分かりません。家電量販店に並んでいるPCを見て、お客さんがじっと見ているからといって、その人が「これほしい」と思っているかどうかなんて分かりません。ひょっとしたら「使いにくいなあ」と思っているかもしれません。
アイトラッキングを使っても、その人がポジティブな感情なのか、それともネガティブな感情なのかまでは分かりません。なので言語によるアンケートも同時に行っています。アイトラッキングで分析したデータを見ながら「なぜ、この部分が気になったのですか?」といった形で質問する。
土肥: ということは、最初からアンケートだけでいいのでは?
蜂巣: いえ、そんなことはありません。アンケートをされた人は、なかなか本音を言ってくれません。自分はこう思っているけど、気を遣って違う回答をしたりすることも。また、覚えていないことも多い。そもそも無意識に「A」という商品を見ていたら、覚えているわけがないですよね。言語のアンケートにはそうした弱点があるのですが、アイトラッキングは「本音」と「無意識」をひろっていくのが得意。なので、現時点では2つの調査を行うことで、より効果的な分析ができるのではないでしょうか。
土肥: いま「現時点」という言葉を使われましたね。ということは、将来は違った形の調査になるのでしょうか?
蜂巣: はい。今後は、人の視線を追いかけることで、もっと深いところまで分析ができるかなと思っています。視線の動きが分かれば、「イチかゼロかが分かる」という世界ですね。
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