世界で一番、“中国の台頭”を心配しているのは日本人!?:伊吹太歩の時事日想(2/3 ページ)
世界には数えきれないほどの問題や課題が存在するが、現代に生きる人々は何を脅威に感じているのか。米国の調査会社が調査した結果を見ると、意外な結果が見えてくる。特に日本は、世界の国々とははっきりと異なる傾向があるという。
世界の人々が最も恐れるのは「気候変動」
本調査は各大陸からまんべんなく選ばれた世界39カ国において、3万7653人を対象に2013年3月から2013年5月にかけて行われた。国ごとに国民が何を懸案事項だと見ているのかをランク付けし、それを世界的に集計している。
意外に思うかもしれないが、世界の人々が最も心配している事象は「気候変動」だった。多くの国で、半数以上の人たちが気候変動に懸念を持っていることが分かったのだ。地球温暖化や、温暖化によって起こる海水面の上昇などを恐れている人が多いというのもあるが、それ以上に、世界各地で異常気象との関連を感じさせるような現象が起きており、多くの人が難を感じているのが原因だろう。
最近は欧州で記録的に嵐が増えているし、北極やスカンジナビア地域で気温が記録的に上昇したり、英国で洪水が頻発したり、カナダ周辺から厳しい寒気が南下したりと、例を挙げればキリがない。ロシアやインド、パキスタンなどでも大規模洪水が起きているし、中国の酷い大気汚染も気候変動に関係があると言われる。
欧州を中心に「金融不安」も脅威に挙がる
そのほか、人々は何に恐れているのか。世界全体のランキングで、気候変動の次に来るのは国際的な金融不安だ。これについても、全体の半数以上が憂慮していると分かった。特に金融危機で経済に大きな影響が出たギリシャやイタリア、スペインでは7割以上の人が不安に感じており、国別ランキングでは1位になっている。
全体ランキングの3位以降はイスラム過激派組織の問題、イラン核開発問題、北朝鮮核開発と続く。興味深いのは、米国人が他国に比べて、気候変動に懸念を示していないことだ。米国の国別ランキングでは気候変動は6位となっている。これは、2009年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が、「地球温暖化の原因は人間の活動によるものだ」としたデータにねつ造があり、大騒ぎになった過去があるからかもしれない。
では、調査結果で他の国々と別の傾向が出た米国は、何を恐れているのか。1位は北朝鮮の核開発問題だ。ハワイやカリフォルニア州への核攻撃も検討している、と報じられたこともあるし、調査当時、北朝鮮によるミサイル発射が話題にもなっていた。米国人は北朝鮮の動きに最も懸念を持っているようだ。2位はイスラム過激派の問題で、3位はイランの核開発問題だった。そして、米国よりも興味深い傾向が出た国がある。
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