世界で一番、“中国の台頭”を心配しているのは日本人!?:伊吹太歩の時事日想(3/3 ページ)
世界には数えきれないほどの問題や課題が存在するが、現代に生きる人々は何を脅威に感じているのか。米国の調査会社が調査した結果を見ると、意外な結果が見えてくる。特に日本は、世界の国々とははっきりと異なる傾向があるという。
日本は中国を気にしすぎ?
それは日本だ。国別ランキングで見ると日本人の懸念事項は、1位が北朝鮮の核問題と世界の傾向と変わらない。多くの国でこの問題が3位までに入っているからだ。日本が他の国の結果と比べて特異なのは「中国の権力と影響力」が2位にランクインしていることだ。今回調査を行った39カ国のうち、日本が最も中国の台頭を恐れていることが分かる。
そして、それ以上に気になったのはアジアの国々で「中国の権力と影響力」がランキングの上位に入ってこないことだ。今回調査を行った国には、韓国や南シナ海で領海の小競り合いをするフィリピンやマレーシア、インドネシアも含まれる。
もちろん日本が、隣国であり、歴史的にも結びつきが強い中国を気にするのは理解できる。だが私たちが思っている以上に、中国の台頭に懸念をもっている国は少ないのかもしれない。恐れるに足らないと感じているのか、はたまた中国の台頭を現実と受け入れ、心情的に脅威よりも実利が勝っているとも考えられる。尖閣問題の対立が大きいのかもしれないが、もしかすると、日本だけがいまだにこの現実が受け入れられないのだろうか。
ちなみに中国が心配していることは、1位が気候変動、2位がアメリカの権力と影響力、3位が国際的な金融不安となる。気候変動と金融不安は、大気汚染が深刻で、危ないと言われ続けている経済状況を反映しているように思う。
注目すべきは、現在、中国人の警戒する国が、唯一の超大国である米国だけだということ。尖閣問題や南京大虐殺問題などで対立しているところはあるものの、中国にしてみれば日本はとるに足らない国なのだろう。
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