プーチンが「人類の救世主」になる日:グローバルエリートから見た世界(1/4 ページ)
国際情勢が大きく揺れている。最も衝撃的だったのは「ロシアによるクリミア半島併合」だが、グローバルエリートたちはどのようなことを考えているのだろうか。
グローバルエリートから見た世界:
金融メルトダウンに対し米国・欧州・日本が次々に歴史的な規模で「量的緩和」を行っているが、一向に出口が見えてこない。しかしそのような状況であってもグローバルエリートたちによる「新秩序の形成」は始まっている。
グローバルエリートたちは一体どういったコンセプトでこれからの世界を創ろうとしているのか? そうした中で、日本人は何を考え、どのように動けばいいのか? タイムリーな話題を切り口にして、日本人に足りない「新グローバル秩序形成に向けたコンセプト」を描いていく。
国際情勢が大きく揺れている。この1カ月で最も衝撃的だったのは「ロシアによるクリミア半島併合」だ。併合が行われるタイミングで私は霞が関の中枢で全体を取り仕切っている人物の一人と面会していたのだが、その人物はこんなことをつぶやいていた。
「クリミア半島併合だなんて、これじゃぁまるで帝国主義時代に逆戻りじゃないか」
無論、欧米を中心とした国際世論はこの併合の首謀者として、ロシアのプーチン大統領を糾弾し続けている。米国はかなり露骨であり、プーチン大統領の「取り巻き」と見なされている人物たちを狙い撃ちにする形でまずは金融制裁をかけた。
一方のロシア側は、こうした動きになる2カ月も前から欧米のマーケットから資本の逃避をさせていたという情報がある。その行方は必ずしもつまびらかにされていないが、かなりの量のマネーが東アジアのマーケットに流し込まれたことは間違いない。
もっともここで私が書きたいのは「クリミア半島併合は国際法的に許されるのか否か」という議論ではない。キャリア外交官として外交実務の世界にいた時の経験から言えば、国際場裏とはまさに弱肉強食の場なのである。「力のある者が行うことは全て正当化される」わけで、現に米国は第二次世界大戦後の国際秩序を自らの思い通りにつくり上げてきた。
法の裏側には実力(強制力)が必要だ。そうである以上、その裏側から見て「力があれば法になる」のは当たり前だというわけなのである。そしてウクライナとロシアの間で力という意味では歴然とした違いがある。ウクライナはその限りにおいて分が悪いと言わざるを得ない。
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