コンビニには“絶対に止められないキャンペーン”がある:ご一緒に“おでん”いかがですか(1/4 ページ)
コンビニではさまざまなキャンペーンが展開されているが、つまらないものが多い。なぜそんなキャンペーンが行なわれるのか。理由を探ってみると、さまざまな思惑がからみあっているようで……。
著者プロフィール・川乃もりや:
コンビニ本部で社員をして10年余り、いわゆるスーパーバイザーなるものを経験し、何を思ったか、独立オーナーに転身した。齢40にして、自分の仕事についての足跡を残したくなり、Webサイト「コンビニ手稿」と、誠ブログ「とあるコンビニオーナーの経営談議を始める。
旅行とお酒が大好きだが、コンビニ経営をしていると、なかなか旅行に行く時間がとれない。その一方で、アルコールの量は増えるばかり。
ご一緒に“おでん”いかがですか:
多くの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。決して大きなスペースではないが、そこで何が起きているのだろうか。陳列台にはたくさんの商品が並んでいるが、何が売れているのか、またなぜ売れているのか。コンビニの現在と過去を紐解きながら、ちょっとした“謎”に迫っていく。
筆者は大手コンビニの本部社員として活躍し、現在では店舗を構えるオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
前回、本コラムで「コンビニで展開されているキャンペーンはつまらないものばかりだ」といった内容を書かせていただいた。キャンペーンには、飲みモノにオマケが付いていたり、お菓子を買うとグッズがもらえたり、スピードくじで当たれば商品をもらえたり、さまざまなものがある。なぜそんなにつまらないキャンペーンを続けるのか――その理由を書いたものの、担当の鬼編集……ではなく、優しいD編集者から「もっと詳しく書いてくださいよー。いつもの感じで、ズバッとね♪」という要望があったので、今回も引き続きキャンペーンにまつわる話を紹介する。
なぜコンビニは、つまらない&くだらない&しょーもないキャンペーンを展開するのか。前回も紹介したが、その理由の1つに「コンビニがキャンペーンを行っても、お金がかからない」ことが挙げられる。通常、何かをするときには、お金がかかる。当然、その結果として、何らかの見返りを求めるはずだが、お金がかからないので「まあまあ。これでいいじゃないか」で終わってしまう。つまり、「なぜ失敗したのか?」という分析がないので、何度も何度もつまらないことを繰り返してしまうのだ。
そもそもなぜキャンペーンを行うのにお金がかからないのか。お金の出所は? と疑問に感じられると思うが、それはメーカーから出ているためだ。少し回りくどい表現になるが、メーカーというのは、自社商品をコンビニが買ってくれれば利益になる。「商品を開発する→商品を作る→出荷する」という流れになるが、最後の出荷さえ済ませてしまえば、メーカー側は商品が売れようと売れまいと関係ないのだ。
もちろん売れれば、売れるほど、メーカーはもうかる。しかし、ヒット商品が出る確率は「センミツ」とも言われている。つまり、新商品1000のうち、ヒットするのは3つくらいなので、逆に言えば、ヒットしないのが当たり前の世界なのだ。
とはいえ、メーカー側も「また、売れなかったね」と指をくわえているだけでは済まされない。筆者の想像だが、メーカーの人たちの間ではこんな会話がなされているのではないだろうか。
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