「IoT」時代に企業が準備すべきことは何か:松岡功の時事日想(2/3 ページ)
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT(Internet of Things)」時代が到来しようとしている。この動きをビジネスに取り込むために、企業が準備すべきことは何か。
では、IoT化が進めばどんなことが起こるのか。池田氏が産業別に示したいくつかの例を挙げておくと、まず自動車では、個々に搭載された各種センサーが発信する情報によって、交通状況をリアルタイムに把握できるようになる。農業では、ITで農作物の栽培を数値化して近代化を進めることができる。物流では、いつどこに何があるのかを常に把握することによって、効率的な配送と、顧客との情報共有による質の高いサービス提供が実現する。
製造現場では、稼働中の工作機械やプラントの状態をリアルタイムに把握することで、経営と現場の距離を縮め、対応を加速できる。医療やヘルスケアでは、健康状態の常時確認や微細な作業を可能とするロボットによって、医者や患者の負担を軽減し、より快適な医療を実現できる。このように、IoT化が進むと幅広い産業で、これまでできなかったことができるようになるのである。
これまでの常識やルールを疑え
では、IoT化の動きをビジネスに取り込むために、企業が準備すべきことは何か。池田氏は「テクノロジー」「プロセス」「人」といった3つの観点で考える必要があると説く。
まずテクノロジーの観点で着手する必要があるのは、企業のITインフラを、これまでの社内だけを対象としてきたクローズドなものから、社外のシステムとも幅広く柔軟につながるコネクテッドなものへ変えていくことだ。
なぜ、そうする必要があるのか。それは、モバイル機器などによって社外でも仕事ができるようになってきたのもさることながら、さらにIoTの進展によってビジネスの舞台そのものが社内の枠を大きく越える可能性があるからだ。具体的には、クラウドサービスをどのように有効活用するかがカギになってきそうだ。
プロセスの観点では、さまざまなビジネスのプロセスにおいてこれまでの常識やルールを疑い、根本から問い直すべきだと、池田氏は説く。IoTの進展によって、さまざまな作業において改めて人が行うべきコトとそうでないコトを問い直すこともできるのではないかという。
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