30年前に生まれた自販機アイスが、今も増え続けているワケ:仕事をしたら“アイス”ができた(3)(2/5 ページ)
「セブンティーンアイス」をご存じだろうか。ショッピングセンターや公園などで設置されている自販機アイスのことだが、登場してから今年で31年目。商品を扱っている江崎グリコに売れ続けている理由を聞いた。
アラサーのセブンティーンアイス
土肥: 公園で遊んだあとや、飲みに行った帰りに、自販機でアイスを買ったことがある人は多いと思うんですよ。「プラスチックの棒にアイスがのっているアレね」といった感じで、すぐに思い浮かぶと思うのですが、商品名を知っている人は少ないかもしれません。セブンティーンアイスですよ、と言っても「ん? なにそれ? 聞いたことがないなあ」といった反応が返ってきそうで。
ほとんどの人が一度は食べたことがあるけど、詳しいことは知らない。てか、商品名すら知らない――それが「セブンティーンアイス」(やや失礼)。でもグリコにとって、それでは困りますよね。認知度をもっともっと上げていかなければいけない。そこで、この商品がどういった歴史をたどってきたのか、そのへんあたりから聞かせていただけますか。
亀井: セブンティーンアイスが登場したのは1983年、いまから31年前のことですね。当初は自販機ではなく、スーパーやコンビニなどのショーケースで販売していました。ただ、ショーケースの中には競合商品がたくさん並んでいますよね。そこに割って入っていくとなると、お客さんにはどうしても“後発組”として受け止められます。そうではなくて、これまでにはない形のスタイルで販売することができないのか? いろいろ検討した結果、「アイスが売っていない場所にアイスを売ってみてはどうか」ということで、1985年に自販機だけで販売することにしました。
土肥: どんなところに自販機を設置されたのですか?
亀井: セブンティーンアイスのターゲットは、「17歳の女性」を想定していました。なので、初めて設置したのはボウリング場なんですよ。当時は、若者向けのレジャー施設として人気がありましたので、そこに置いていきました。その後は、スイミングスクールやショッピングセンターなどに設置したので、家族や子供に買っていただくようになりました。そして、最近では駅でも設置するようになったので、ビジネスパーソンにも手に取ってもらえるようになりました。
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