30年前に生まれた自販機アイスが、今も増え続けているワケ:仕事をしたら“アイス”ができた(3)(3/5 ページ)
「セブンティーンアイス」をご存じだろうか。ショッピングセンターや公園などで設置されている自販機アイスのことだが、登場してから今年で31年目。商品を扱っている江崎グリコに売れ続けている理由を聞いた。
自販機の設置台数は増えたり、減ったり
土肥: 設置台数をみると、1990年代後半まで右肩上がりで増えていきました。その後はやや減っていきましたが、2009年から再び右肩上がりで増えています。この背景にはどういったことがあったのでしょうか?
亀井: 1990年代前半は“イケイケドンドン”ではなかったのですが、設置台数を増やしていきました。ところが、振り返ってみると「あれ? あまり売れていないところにも設置している……」という反省があって、見直しを始めました。
土肥: バブル経済のときに、とにかく設置しまくったのでは? 置けば売れる、置けば売れるといった状況だったので。でもバブルが崩壊して、ふと我に返ると「誰やねん、こんなところに自販機置いたのは!?」となったのでは。
亀井: 振り返るとそういった部分もありましたね(泣)。設置台数の目標は達成していたので、“それでよし”といった雰囲気がありました。でも、売り上げがイマイチという自販機があったので、スクラップ&ビルドを行いました。
ただ、言い訳ではないのですが、設置したときには人の流れが多かったのに、時代の流れとともに、少なくなるところもあるんですよ。それは、いまでもあります。そうしたところにある自販機は、どうしても売り上げが伸び悩むんですよね。
土肥: リーマンショック後に、再び台数が増えていますよね。なぜですか?
亀井: 「1台当たりの販売金額は、どうすれば上げることができるのか」という課題がありました。お客さんに「おいしかった。もう一度食べたい」と思っていただくために、どうすればいいのか。トライアルとリピートの率を高めるために、商品の見直しを行いました。
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