30年前に生まれた自販機アイスが、今も増え続けているワケ:仕事をしたら“アイス”ができた(3)(4/5 ページ)
「セブンティーンアイス」をご存じだろうか。ショッピングセンターや公園などで設置されている自販機アイスのことだが、登場してから今年で31年目。商品を扱っている江崎グリコに売れ続けている理由を聞いた。
セブンティーンアイス=見直し
土肥: どういった見直しでしょうか?
亀井: 「お客さんはクリームをもっと食べたいのではないか」という仮説を立てて、クリームの見える部分を増やしました。その一方で、コーンの部分を減らしました。
土肥: それによって、どういった効果があったのでしょうか?
亀井: 従来の商品はコーンの部分が多かったので、パッと見て商品の違いがよく分かりませんでした。リニューアル後はより鮮明になったので、お客さんに分かりやすさが伝わったのではないでしょうか。あと、見た目のシズル感が増して「食べてみようかな」と思われる人が増えたのかもしれません。
土肥: それによって売り上げが伸び、設置台数も増えていったわけですね。30年ほど販売されてきて、見直したのはそれだけではないですよね?
亀井: いえいえ。見直し、見直し、また見直しの繰り返しですよ。「セブンティーンアイス=見直し」といった感じ(笑)。
土肥: 例えば、どんなところを?
亀井: あまり気づかれていないと思うのですが、自販機のパネルデザインは毎年変えています。
土肥: 気づいていない、気づいていない(笑)。そんなに頻繁に変えないといけないのですか? たぶんほとんどの人は気づいていないので、3〜4年に1回くらいでもいいのでは?
亀井: いえいえ、そういうわけにはいきません。自販機を見るのは「年に2〜3回」という人たちは、「いつ見ても同じ」と感じられるでしょう。ただ、スイミングスクールに設置している自販機はどうでしょう? 生徒さんは頻繁に見ていますよね。また、駅に設置している自販機はどうでしょう? その駅を利用する人は頻繁に見ていますよね。そういう人たちには、デザインを変えないと「この自販機は古くさいなあ」と思われます。なので季節感などを変えることで、「ちょっと買ってみるか」という気分になってもらわなければいけません。
もちろんデザインだけではダメで、フレーバーについても年4回変更しています。期間限定商品を含めると、年に10商品ほど入れ替えています。これまでに200種類以上のフレーバーを販売してきました。見直し、見直し、また見直しですね。ドイさん、気づかれていました?
土肥: も、もちろんじゃないですか(汗)。自宅の最寄駅に自販機がありますからねっ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。
アラフォーの「pino(ピノ)」が、いまも現役でがんばっている理由
アイスが食べたくなったので、コンビニの冷蔵ケースの中をのぞいてみると、定番商品ばかり。アイス市場は新商品が生まれにくいものなのか。そんな疑問が浮かんできたので、ロングセラーを続けている「pino」(森永乳業)の担当者に話を聞いた。
ローソンのコーヒーは誰が飲んでいる? データから見えてきたコト
「コーヒーはコンビニで買う」という人が増えてきているが、一体どんな人が購入しているのだろうか。ローソンのPontaカードを分析すれば「どういった人が何を買ったのか」が分かるので、担当者に直撃。男性20〜40代がよく飲んでいるのは……。
自販機の一等地は「左上」? 人の視線を追いかけたら“常識”が覆った
自販機で缶コーヒーを買う――。日常的な行動なので、意識していない人が多いと思うが、実は自販機には隠れたノウハウがある。マシンの前に立ったとき「人は『左上』に注目する」と言われてきたが、ダイドードリンコがアイトラッキングを使って分析したところ……。

