あなた、燃え尽きランナーではありませんか? 活況ランニングブーム、落ち込む前の次の一手(2/2 ページ)
趣味ランナーは、7割が半年以内に燃え尽きてしまう──ランニング市場はいまだ活況だが、ニーズの細分化と成熟にともない「いかに続けてもらうか」の施策を各社が盛んに打ち出している。アシックスは、高橋尚子さんをアンバサダーに「Run you ready?」と呼ぶ取り組みを始めた。
アシックスが展開、半数がつまずく最初のポイントをサポート
ランニングブランドとして、機能性の高さを軸に、比較的「本気ランナー」に好まれるというアシックス。ニーズや用途が細分化した市場において、同社は、走る目的やシーンに応じ、関連商品のコーディネートコンセプトやコンテンツをトータルで提案する取り組み「RUN you ready?」を2014年5月に開始した。
女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんをアンバサダーに据え、ランニングウェアやシューズの選び方を「レベル」と「シーン」別に紹介し、正しい練習方法とコーディネートの仕方をしっかり伝える。趣味ランナーの半数がつまずく最初のポイントを手厚くサポートし、「まずは半年続けてみよう」と離脱率を低める。自身のライフスタイルとして定着させ、ひいてはアシックス商品が強い本気ランナーへ育てるのも狙いだ。
東京マラソンに参加、ダイエットや健康維持のため、知人とのコミュニケーションのため、最初の機会はさまざまだが、カタチから入ってしまった人が陥りやすい注意点として「ランニングギアが自分に合っていなかった」がある。「楽しみ方は100人いれば100通りあります。それぞれのレベルや季節によって走る環境が変わるので、適切なウェアとシューズ選びがまずは大切になります」(高橋尚子さん)。
アシックスの調査によると、経験者ほどシューズは「走る距離」「天気・天候」の順で、ウエアは「天気・天候」「走る距離」そして「走るコース」の順で使い分けている。例えば、都市部を走るシティラン以外に、登山とランニングを合わせた「トレイルラン」などの人気も高まっている。こういった複数の楽しみ方を1種類のギアだけでカバーするより、それぞれの使い方に合わせて開発されたギアを用意するほうが、自身の継続性につながり、総じて体調や安全性の確保にもつながるのだという。
RUN you ready?は、ランニングギアのカテゴリを「夜ラン」「街ラン」「山ラン」「朝ラン」と分けて紹介する点を特徴とする。ランニングの時間帯は夜間が42.3%(平日、アシックス調査)と最も多い。夜ラン用として勧めるシューズ「GT-2000 2 LITE-SHOW」(1万3824円)は、アッパー部分にも反射材を設け、ナイトランの安全性を考慮する設計とした。一方、街ラン用にはファッション性に富む「LADY GT-2000 NEWYORK 2」(1万2744円)や女性ランナーのニーズに沿った「AYランニングパーカチュニック」(5292円)などを紹介する。
合わせて、同社主催のランニングイベントの名称を「ASICS RUNNING CLUB」に統一し、上級者から初心者、これから始める人向けなど、各レベルに応じたファンイベントの展開も拡充する。例えば初心者向けイベントでは基礎トレーニングの仕方、中級者にはロングスローディスタンスなど実践トレーニング方法をレクチャーする。
現時点、市場は伸びているが、新規参入者の約7割が離脱する状況を見ると、ブームが去れば減少へ向かうことは想像に難くない。いかに継続させ、生活習慣にさせるか。これらの取り組みは、成熟しつつある市場ならではの課題で、ある意味改めての提案、原点回帰の策と言える。
これから始める人はRUN you ready?サイトなどを参考に。さらに経験者も、家族や友人を誘うときには「まずはここから」と、燃え尽きない製品選びのコツやランニングの実施方法をきちんと教えてあげてほしい。結果として「ランニングがより楽しい」の方向につながるはずだ。
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