王者「ガリガリ君」を倒したのは? ロッテアイスの戦略が面白い:仕事をしたら“レシート”が集まった(前編)(6/7 ページ)
アイスクリーム市場が活気に沸いているが、どの商品が売れているのだろうか。業界などが発表している売れ筋ランキングではなくて、消費者のレシートを分析したところ、意外な結果が! それは……。
ロッテアイスはニッチャー
平野: でも、「雪見だいふく」を製造しているロッテアイスとしては、それではいけないですよね。「『雪見だいふく』は夏には売れてないけど、冬に売れているから問題なし」ではダメ。というわけで、夏に売れる商品がなければいけない。そこで、8位の「スイカバー」に注目していただけますか?
土肥: 冬は全くダメですね。27位って……。
平野: でも、夏は5位なんですよ。つまり、ロッテアイスは「雪見だいふく」の夏の落ち込みを、「スイカバー」で“カバー”しているともとれるんですよ。
土肥: ちょっとダジャレが含まれていましたが、そこは“カバー”しませんからね(笑)。
平野: 上位の赤城乳業と森永乳業は安定している。この2社に勝つためにはどうすればいいのか? 局地戦に持ち込まなければいけない――。ということで、ロッテアイスは、冬には「雪見だいふく」、夏には「スイカバー」を投入しているのではないでしょうか。
マーケティング戦略を考えていく上で、業界の地位を考えることはものすごく大切。市場においてシェアトップの企業を「リーダー」と呼び、そのリーダーに次ぐシェアで、リーダーに競争をしかける企業を「チャレンジャー」と呼んでいます。また、小さいながらも独自の地位を築いている企業を「ニッチャー」、リーダーやチャレンジャーの戦略を模倣している企業を「フォロワー」と呼んでいます。
例えば、ハンバーガー業界のリーダーは「マクドナルド」。チャレンジャーが「モスバーガー」、ニッチャーが「フレッシュネスバーガー」、フォロワーが「ロッテリア」といった感じ。ただ、最近の「ロッテリア」はニッチャーに近い戦略をとっていますね。
アイス市場でいうと、リーダーは「ガリガリ君」の赤城乳業、チャレンジャーが「PARM」「MOW」の森永乳業。そして「雪見だいふく」「スイカバー」という季節に強い商品を仕掛けているロッテアイスは、ニッチャーなんですよね。このほかにも、ロッテアイスは「爽」「北海道バニラバー」などを販売していて、いろいろな商品を束ねて勝ちにいっているのではないか――そんなことがデータから読みとれるんですよ。
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