体長0.05ミリの生物は次に何を動かす? ミドリムシが創る「未来」:仕事をしたら“軽油”ができそう(後編)(4/5 ページ)
2020年――。ミドリムシが飛行機を飛ばすのが、当たり前になっているかもしれない。体長0.05ミリの生物がどのようにして飛行機を飛ばすのか。ミドリムシの大量培養に成功した、ユーグレナの研究者に話を聞いた。
鈴木: 船の燃料は重油。表現は少し悪いのですが、黒い煙を吐いている船を見たことってありますよね? なぜ黒い煙を吐いているかというと、べったりとした質の悪い重油を使っているから。その重油を作るのは、一般的に「飛行機やクルマの燃料に比べて簡単」と言われています。
土肥: おお、では、次は船を動かしましょー。
鈴木: 船の燃料を作って、どこまでニーズがあるのか。そこが課題になってきますね。
土肥: 経済合理性の問題ですね。優先順位として、クルマと飛行機の燃料開発に全力投球するというわけですか?
鈴木: はい。
土肥: じゃ、クルマと飛行機の燃料を作って、それでたくさんもうけることができたら、次はロケットの燃料を作りませんか? 開発してすぐにもうけることはできないかもしれませんが、ブランド力はかなりアップしますよ。「あのNASAが認めた燃料」となれば、なんだかスゴい感じになりますし(笑)。また、宇宙服に「euglena」というロゴを貼ってもらったら、ものすごい宣伝になりますよ。世界中の人が「なんだ? ユーグレナって?」となるはず。
――ここで、広報のYさんがテンション上げ上げで割り込んでくる。
広報Yさん:それスゴーい。ぜひ、実現してみたいですね。そうなったら、「ワタシ、ユーグレナっていう会社で働いているんですよ」と自慢できますね♪
――今の状況は自慢できないのですか? と聞きたかったのですが、トゲトゲしいので止めました(大人の対応)。
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