第1回 「iBeacon」とは何か?:ビジネスパーソンが理解しておくべき、新時代のキーワード(4/4 ページ)
ビジネスパーソンが理解しておくべき「新時代のキーワード」をしっかり理解しているだろうか。今回は2014年以降のO2Oマーケティングの切り札とも言われる「iBeacon」の“そうだったのか”を解説しよう。
(3)NFCの代わりに、iBeaconを決済に利用する
スマートフォンで決済といえば、「おサイフケータイ」などに代表されるタッチして決済「NFC(FeliCa)」を使った非接触通信による決済手段はご存じと思う。
「iBeaconでの決済」は、それとは少し事情が異なる。NFCは読み取り機とスマートフォン(カード)との距離を数センチメートル以内に限定して通信する仕組み。意図的に「タッチ」する動作を行って決済する。こうすることで「タッチすると決済」が分かりやすく、利用者は「どの端末(カード)で決済するのか」を明示的に示せる。他人のものと誤認されない仕組みのため、安全性や確実性を高める意図もある。
iBeaconは、通信の規格や仕様としての性質上、こうした仕組みはNFCと比べると不向きだ。一般にiBeaconはビーコン発信器から半径十数メートルほどの距離を対象に、現時点は範囲内のすべての端末に対して信号を一方的に送信する仕組みが軸なためだ。
このため、アプリを通じて「ある客が、今、店内のどのあたりにいる」ことは判別できるが、店側は、どの人が決済したいのか“確実”に把握できない可能性がある。ユーザー自身がアプリを操作し、何らかの手段で「決済しているのは私です」ということを示さなければならない。ある程度の誤認は許容されるプッシュ情報に対し、決済は確実性が求められる。ここが、他でも多く使われるよくある周波数帯で通信し、世界標準の規格を使う──つまり、通信が不安定になる可能性があるiBeaconを利用する課題の1つだ。
一方、このことは「アイデア次第で、いろいろなことが可能」という点にもつながっているのである。
(続く)
次回は、2014年現在すでに運用されている実例から、「では、具体的にどうなの?」を解説する予定です。
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