おサイフケータイ登場から10年、未来のFeliCaはどうなる?:iPhoneがおサイフケータイになる日(3/3 ページ)
コンビニやスタバなどFeliCa電子マネーでお金が払えるところは増え続けている半面、iPhoneなどおサイフケータイ非対応のグローバルなスマホ人気もあり、ここ数年おサイフケータイの歩みは止まっているように見える。FeliCaとおサイフケータイは今後どうなっていくのか? 最新事情をレポートする。
今度こそFeliCaカードを減らせる?「モバイル子カードエミュレーション」
FeliCaに対応するサービスはさまざまあるが、おサイフケータイ用アプリを提供しておらず、FeliCaカードしかないというものも多い。こういったサービスを多数利用していると財布の中がカードでいっぱいになってしまう……という経験がある読者も多いのではないだろうか。
参考出展されていた「モバイル子カードエミュレーション」は、クラウドとモバイルFeliCa搭載のスマートフォンを組み合わせることでそういった悩みを解決するサービスだ。スマートフォンを読み取り機として使う。
会員証やスタンプカードなどの非接触ICカードをモバイルFeliCa搭載のスマートフォンにかざすと、カードの中身を読み取って子カードデータをクラウド上に生成する。スマートフォン上ではエミュレーション機能を使って子カードのデータを保持、スマートフォンをあたかもカードのように使うことができるというものだ。
O2OにFeliCaを利用
O2O(オンラインtoオフライン、参照リンク)にFeliCaを利用する試みも参考出展されていた。店頭に置かれた機械にスマートフォンをかざすと、端末を判別して適した形でクーポンなどを配布する、というものだ。
かざした端末がAndroidおサイフケータイであれば、それに対応したクーポンアプリをその場でスマホに送信する。クーポンはその店舗の情報やクーポン券などの情報を持っているだけでなく、アプリ内のカレンダーと連携して、将来の情報(新商品発売日、バーゲンetc)を表示する。顧客がお店に来たときだけでなく、それから日にちが過ぎたあとでも、店舗側はクーポンを通じて顧客にアプローチできる。
かざした端末がiPhoneであれば、iBeaconを使って(参照リンク)クーポンを配布する。顧客の端末がおサイフケータイであってもなくても、店舗は顧客に同等のサービス・情報を提供できる……というのがメリットだという。
Bluetooth×FeliCa認証システム
どちらも近距離通信だが、BluetoothにFeliCaを組み合わせた仕組みも今後登場しそうだ。Bluetoothで利用できるPaSoRi(パソリ、FeliCaのリーダー/ライター)は2013年に発売され(参照リンク)、PCがなくてもスマートフォンやタブレットでFeliCaの読み書きができるようになっている。
このほか参考出展されていて面白かったのが、BluetoothとモバイルFeliCaを組み合わせた入退室ゲートの認証システムだ。Bluetooth経由でFeliCaで本人認証を行い、その結果によってゲートを開けたり閉めたりするというもの。FeliCaカードをかざすと通過できるゲートは現在でも多く利用されているが、この仕組みであればモバイルFeliCaとBluetoothが搭載されたスマートフォンを持っている人は、カードをかざすことなくゲートが開いて通過できる。かざすよりももう一歩先、「近づく」だけでゲートが反応するのだ。
PCのログインやキーレスエントリー、郵便や宅配ボックスの受け取りなどの利用を想定しているという。
余談だが、「Bluetooth×FeliCa」という組み合わせでは、FeliCaではなくBluetooth(Beacon)で決済を行うソリューションも実用化されている(参考記事)。近距離通信技術を複数組み合わせた新しい使い方は、今後少しずつ増えていくのかもしれない。
2001年Suica誕生から13年、おサイフケータイ誕生から10年。ソニーとフェリカネットワークスは、「タッチ&ゴー」「かざして決済」の次の価値をどう利用者に提供すればいいのか、その答を見つけられずにいるように見える。
その間、携帯電話の主役はフィーチャーフォンからスマートフォンになり、NFCやBluetoothを搭載するスマートフォンがグローバルで増えている。またO2Oの観点から見れば、近距離通信技術としてiBeaconも注目を集めている(参照記事)。
FelCa/おサイフケータイは今後どのように発展していくのか。それとも今のままで止まったままなのか……今後も見守っていきたい。
関連記事
- FeliCa/モバイルFeliCaの歴史を振り返る(前編)
非接触ICを使った近距離通信技術“FeliCa”はどのように生まれ、携帯電話に内蔵されるようになったのか。FeliCaとモバイルFeliCaの誕生と成長を、2回に分けて振り返る。 - FeliCa/モバイルFeliCaの歴史を振り返る(後編)
物流分野向け無線ICとして誕生したFeliCaは、長い雌伏期間を経て「Suica」に採用された。カードに電池が入っていた試作時代、香港オクトパスカード導入に向けての開発などの歴史を、エピソードと写真で振り返る。 - ビジネスパーソンが理解しておくべき、新時代のキーワード:第1回 「iBeacon」とは何か?
ビジネスパーソンが理解しておくべき「新時代のキーワード」をしっかり理解しているだろうか。今回は2014年以降のO2Oマーケティングの切り札とも言われる「iBeacon」の“そうだったのか”を解説しよう。 - ビジネスパーソンが理解しておくべき、新時代のキーワード:第2回 現在、「iBeacon」が抱える課題
前回は「iBeacon」の基本を解説した。続いて今回は、すでに稼働している事例を参考に「決裁手段」はどうか、そしてiBeaconが現在抱えている課題を考察する。 - 箱根でおサイフケータイをかざしてきました!(前編)
小田急グループが8月1日からスタートした、箱根の観光情報やクーポンなどをおサイフケータイに配信するサービス「箱根かざしてゲット!」。どんなサービスなのか、実際に箱根に行って“かざして”みました。 - 「箱根かざしてゲット!」は、おサイフケータイの“最新”サービス(後編)
小田急グループが箱根で行っている情報配信サービス「箱根かざしてゲット!」。対応機種の少なさを不思議に思って取材するうち、実はこれが“最新かつ唯一”のおサイフケータイ向けサービスであることに気が付いた。同サービスで利用されている最新機能とは――?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.