自分のニセモノが「LinkedIn」で“暴れている”かもしれない:INSIGHT NOW!(1/3 ページ)
国内だと詐欺の主な狙いは高齢者。しかしネット上では事情は別だ。現役バリバリ? LinkedInやってる? 英語得意? ならば、あなたも狙われているかもしれない。
著者プロフィール:日沖博道(ひおき・ひろみち)
パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。
以前、ビジネス向けSNS「LinkedIn」での詐欺話について、いくつか例を挙げて紹介した。海外の金融関連の人から友人承認リクエストが来て、承認したところ、詐欺っぽい依頼がメールで来たという話だ。(参照リンク:実名のはずのSNSにも詐欺師は出没する)
実はその後も、似たような怪しい“お誘い”がLinkedIn経由で入ってきている。しかもこの半年あまり、いろいろと手の込んだパターンが生まれており、ネタとしてなかなか面白いのと、他の人が万が一にも引っ掛からないように警鐘を鳴らす意味で、続編としてお伝えすることにした。
世界の詐欺師がネットに乗ってやってくる
まず、典型的なパターンとして、こちらの興味や同情を引くストーリーを提示してくることが挙げられる。従来、よくあったのは「(アフリカの)○○国の王族の一員だけど、クーデターで追われてしまい国外亡命中なので、隠し資産を引き出すために第三国であるあなたの口座を経由させてほしい」というものだった。しかし、これでは同情されないし少し危険な感じがする。そこで「力になってあげたい」と思わせるストーリーを懸命にいろいろと考えてくるのだ。
私が先日出会った例は、確かに手が込んでいた。元ハーバード大研究員で台湾在住と称する米国人がコンタクトしてきたので、「承認」をして詳しいメッセージを受け取ることにしたが、その内容は「(台湾の有力政治家だったが今は失脚している)T氏の側近をしているが、彼の助けになってもらえないだろうか」というものだった。
「T氏は今、政敵の謀略により有罪判決を受けて収監され、しかも資産凍結されて身動きができない。司法取引し国外亡命するために、某外国銀行にある匿名名義の資産を第三国経由で受け取りたい。ついてはその経由先になってくれないだろうか? 謝礼はもちろん十分出すし、迷惑はかけない。親日家であるT氏を助けてほしい」という趣旨だ。
この背景事情は客観的事実に即しているようだったが、やはり本質的にはよくある詐欺話と同類である。そもそも台湾好きとはいえなぜ自分が選ばれたのか、疑問が湧いた。そこで、この分野に通じている台湾の友人に「こんな話があるけど、どう思う?」と聞いてみた。
すると「確かにT氏は収監されており、その国内・海外資産は凍結されている。でも政権側が許さないので司法取引はあり得ないし、仮にそうした依頼をするなら海外にいる親族か、その友人の口座を経由させる」という返事だった。なるほど。では、この話は口座情報等を引き出す詐欺の一種か、またはマネーロンダリングに一枚かませるつもりだな、と納得した次第である。
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