自分のニセモノが「LinkedIn」で“暴れている”かもしれない:INSIGHT NOW!(2/3 ページ)
国内だと詐欺の主な狙いは高齢者。しかしネット上では事情は別だ。現役バリバリ? LinkedInやってる? 英語得意? ならば、あなたも狙われているかもしれない。
プロファイルやネットワーク先などの情報が整備されている
もう1つ、「この名字の人をようやく見つけ出した。実はあなたと同姓の外国人資産家が、当銀行に巨額の資産を預けたまま死亡した」というパターンもよくある。身寄りがないのでこのままでは国家に没収されてしまう、というのが一般的な落とし文句だ。
しかし今回は「国家に没収されてしまう前に銀行の幹部たちが山分けしてしまう」というストーリーがあった(実際あるかもと思わせるものだ)。「その前に国外に移したいので、一時的受取人になって欲しい。数億ドルの資産は山分けしよう」という話だ。この類の誘いを送ってくるのは大抵、自称銀行家(しかもプライベートバンキング部門の幹部など)だ。
このパターンで進化している点は、この銀行家のプロファイルやネットワーク先がしっかりしていることだ。所属するという中東やら欧州の銀行のWebページをチェックすると(相手の誘導に乗らないよう、検索して探した)、LinkedInに表示されている当人の顔と同じ写真が「Our management team」などというページに掲載されており、実在の人物と分かる。
「あれ、では本当にこんなウマイ話があるのかな」と思う人もいるかもしれないが、うっかり乗ってはいけない。これは多分、その後に口座番号やメールアドレスなどの個人情報を盗み出すための誘導の可能性が高い。仮に、本当に自分の銀行口座を使わせることになれば、立派な国際マネーロンダリングであり、片棒を担げば国際犯罪に問われる。
しかしこの類の話は、私にはまず通じない。というのも私の名字(日沖)は国内で出会うことさえ珍しい。「海外在住で、資産家で身寄りがないまま死亡? そんなバカな」と端から疑ってかかることができるのだ。しかし、外国人の詐欺師には日本人のどんな名字が珍しいのか、ありふれているのか、判断がつかないから仕掛けてくるのだろう。
実際そうこうしているうちに、同様のコンタクトが日本人銀行家からも届いた。しかもわざわざ英語でだ。その(実在する)邦銀は日本語Webページでは役員の名前すら出していないが、海外向けの英語ページでは役員の名前と経歴を出している。これはLinkedInに書いてある、その銀行家のプロファイル情報とまったく同じ。それでピンときた。
赤の他人の詐欺師が、当人をかたってLinkedIn上で堂々と友人を作り、見かけ上の“業界人ネットワーク”を作り上げているのだ。
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