インタビュー
“納豆不毛地帯”の大阪で、なぜ小さな店の納豆がヒットしたのか:仕事をしたら“ストーリー”ができた(3/6 ページ)
「関西人は納豆が嫌い」と言われている中で、大阪の東部にある大東市で注目されている納豆メーカーがある。その名は「小金屋食品」。従業員数が10人も満たない小さな会社が、なぜウケているのだろうか。
「独自の価値」を探す
川上: はい。創業者の娘・吉田恵美子さんが継がれました。ただ、恵美子さんは専業主婦だったので、納豆については全くの素人。父親が納豆にかけた情熱を絶やしたくないという気持ちから、家業を継ぐことにしました。
土肥: でも、素人ですよね。納豆ってそんなに簡単にできるものなのですか?
川上: 当然、甘い世界ではありません。売り上げはどんどん落ちていって、大変な状況に追い込まれていきました。苦境に立たされた中で、2代目は「独自の価値」を探し始めるんですよ。
土肥: 「独自の価値」を探すって……簡単なことではないですよね。で、どうなったのでしょうか。
川上: 創業者は職人気質で、納豆を作るのは上手でした。しかし、会社のブランドで販売することができなかったそうです。発注元企業の名前で販売される「OEM」ですね。
2代目は、創業者が築き上げてきたものを壊すかのように、新しい価値を生み出していきました。例えば、それまで使っていた機械を捨てて、すべて「手作り」にしました。現在販売されている納豆の多くは「納豆菌」を加えて作られているのですが、2代目は昔ながらの製法も取り入れました。納豆菌を加えずに、藁(わら)でそのままくるんだだけの納豆も商品化したんですよ。
土肥: なるほど。ただ、厳しい言い方をすれば「手作り」ってそんなに注目されるのでしょうか。
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