東京マラソンでブーム再燃。日本のランニング人口は1000万人を突破:なぜ人は“動く”のか(1/2 ページ)
1000万人が動くということは、日本でいえば、全人口の10人に1人を動かす計算になる。当然ながら、時間も手間もかかる。方向性を間違えれば、とてつもない無駄足を踏むことにもなりかねない。
集中連載「なぜ人は“動く”のか」について
本連載は、本田哲也、田端信太郎著、書籍『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から一部抜粋、編集しています。
映画『アナと雪の女王』は、なぜ1000万人を動かしたのか?
LINEは、なぜ4億ユーザーの心をつかんだのか?
誤発注されたプリンは、なぜ完売したのか?
インターネットの普及などにより流通する情報量が爆発的に増える一方、生活者はネットやHDDレコーダーなどを活用し、自分で情報を選択するようになっています。そんななか、旧来のマス広告やメディア露出では、昨今、人は動かなくなっています。
大々的な広告キャンペーンやメディア展開をせずに人を動かすことに成功した事例を、1000人、1万人……、1億人、10億人と、スケールごとに分析。生協のプリン誤発注からアナと雪の女王、LINEまで、そのヒットの秘密を探っていきます。
広告・メディア業界人はもちろん、企業経営者、マーケティング担当者も必読の一冊です。
笹川スポーツ財団が発表した『スポーツライフに関する調査2012』によると、日本のジョギング・ランニング人口は1998年の調査開始以来、初めて1000万人を突破したと推測される。調査は笹川スポーツ財団が、同年6〜7月にかけて、全国の成人男女2000人を対象に行ったもので、9.7%の人が「過去1年間にジョギング・ランニングをしたことがある」と回答したことから、同財団がジョギング・ランニング人口を約1009万人と推計した。
日本における第一次マラソンブームは1970年代にさかのぼる。1964年の「国民の健康・体力増強対策について」の閣議決定にもとづき、翌年「体力つくり国民会議」が設置され、“体力つくり運動”が推進されるようになった。78年には厚生省による「国民健康づくり計画」が発足。1979年に開催された第一回東京国際女子マラソンの影響もあり、市民ランナーが急増した。皇居ランを楽しむ人々が現れたのも同じころだ。毎週日曜日朝8時に集まり、ラジオ体操をした後、それぞれのペースで皇居を走る「千代田走友会」は1968年ごろに発足。「皇居の周りを普通の人が走っている」と、月刊『文藝春秋』に取り上げられたのは1974年のことだ。
2007年には東京マラソンが始まり、第二次マラソンブームが起きる。第1回東京マラソンの抽選倍率は3.1倍、第2回は5.2倍、第3回は7.5倍と右肩上がり。走りたくても走れないというランナーも続出。2011年から2012年にかけて大阪マラソンや熊本城マラソン、京都マラソン、名古屋ウィメンズマラソンなど、都市型の市民マラソンが各地で開催されるようになった。人気のある大会は申し込みスタートからわずか数時間で5000〜1万人の参加定員が埋まるケースが頻発。“マラソン難民”という言葉まで生まれた。
特別な道具を使わずとも、手軽に始められるという点が社会状況にマッチしていたという指摘もある。
ランナーの裾野が広がるなか、“抽選に当たったから走り始める”という人も増えた。さらに、名所旧跡を楽しみながら走る「観光ラン」も登場。全国各地で開催されている「スイーツマラソン」では、給水地点にご当地スイーツが用意されている。また、旅行代理店のクラブツーリズムが開催する「食べラン♪」では、走った後に銭湯やシャワーで汗を流し、参加者同士の交流会が行われる。
今年で8回目を迎えた「東京マラソン2014」の抽選倍率は10.3倍。3万600人ものランナーと1万人以上のボランティア、170万人を超える観衆が一堂に会する。
ざっくり言うと……
- 全体の9.7%が「過去1年間にジョギング・ランニングをしたことがある」と回答。
- 日本における第一次マラソンブームは1970年代にさかのぼる。
- 2007年に始まった東京マラソンにより第二次マラソンブームが再燃。
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