巨人優勝の裏で……。年俸440万円、厳しい生活を送る二軍選手たち:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(1/4 ページ)
プロ野球セ・リーグで巨人がリーグ3連覇を達成した。祝勝会に参加できた選手はごくわずかで、同じ巨人の一員であっても普段と変わらない生活を送っている選手がたくさんいる。そんな彼らの生活とは……。
著者プロフィール:臼北信行
日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
全国のG党は、きっとおいしいお酒を飲みまくったことだろう。9月26日、プロ野球セ・リーグで巨人がリーグ3連覇を達成。9月に入ってからも上位3球団が優勝争いを繰り広げる熾烈(しれつ)な争いとなったが、やはり最後は大本命チームがペナントを制した。
横浜スタジアムでのDeNA戦に勝ち、優勝を決めたナインは原監督をグラウンド上で8度胴上げ。その後の祝勝会会場で行われた恒例の「ビールかけ」では、ビール3000本、スパークリングワイン120本が約20分間で泡となって消え去った。主力選手に故障や不振が相次ぎ、もがき苦しんだ中でのリーグVであったのだから、チーム関係者の誰もが感無量の面持ちで喜びを爆発させていたのは言うまでもない。
しかし、この喜びの輪の中に加われた巨人の面々はごくわずか。同じくYGユニホームを身にまとった巨人の一員であっても一軍昇格を果たせず二軍暮らしが続く選手たちは、26日の晩も歓喜に沸く祝勝会に参加することなく普段のシーズンと変わらない生活を送っていた。
「胴上げとビールかけはテレビでチラッとだけでしたけど見ましたよ。感動はしましたけど、どこか別の世界の出来事のようでしたね。ファンの人たちの目線と基本的には一緒です。だって自分は何もチームの優勝に貢献していませんから……。『スゴいなあ、うらやましいなあ』とは思いましたね」
そう語るのは巨人でプロ入りして以来、一軍昇格経験のない某若手選手。27日はジャイアンツ球場でイースタン・リーグのデーゲームがあるため、前日の晩は一軍が勝利の美酒に酔いしれる様子を寮の自室のテレビで数分だけチェックした後、すぐにスイッチを消してベッドに入ったという。
「よく親戚や友だちに言われるんですよ。『ジャイアンツが3連覇したんだね、おめでとう!』とか『○○クンって、優勝した巨人の選手なんだよね、スゴいよ!』って……。でもオレ、何にもしてないですから(苦笑)。
そう言われるのがスゴく辛いんです。だから次のCS(クライマックスシリーズ)、あるいは日本シリーズで一軍からお呼びがかかるように必死で結果を出さなきゃいけない。このまま、ずっとファームで二軍選手のまま現役が終わってしまったら自分のプロ生活はなんだったのかと自問自答することになる。正直お金も貯まってなくて貯金なんて全然ないですからね……」
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