配って、売れて、パクられて――ポッキー海外物語:仕事をしたら“インドネシア”で売れた(2/7 ページ)
江崎グリコの「ポッキー」が、海外で広がりつつあることをご存じだろうか。インドネシアでは2012年から本格的に展開しているが、売上目標を軽く上回る勢いだ。その理由は……。
現地の嗜好に合わせた工夫が必要
土肥: ポッキーは現在、タイ、上海、フランス、カナダ、米国、ベトナムの6拠点を中心に展開していて、年間5億個も販売しているそうですね。海外展開を始められた1960年代後半は、日本で生産したポッキーを輸出されていた。しかし「現地の嗜好に合わせた工夫が必要」と判断して、現地法人の設立にチカラを入れられた。
その第一歩として、1970年に現地法人「タイグリコ」を設立。その後、米国、フランス、中国などにも現地法人を設立していったわけですが、2012年から本格的な展開を始めたインドネシアが好調のようですね。売上目標は3年間で10億円だったのに、1年目でいきなり5億円も稼いでしまった。インドネシアのお菓子市場ってどんなところなのでしょうか?
中原: 日本国内の菓子市場は、少子高齢化や人口減少などで「先細りするのではないか」と言われていますが、インドネシアは違います。
土肥: インドネシアの菓子市場をみると、2012年は2473億円ですが、2013年は2963億円まで拡大していますよね(富士経済調べ)。
中原: なぜ急成長しているかというと、日本に比べて子どもの数が多いことが挙げられます。あと、都市と地方の経済格差はありますが、その差がだんだん縮まっています。こうした背景があって、お菓子を購入できる層が増えているんですよね。
土肥: ポッキーの価格は60〜70円ほどなので、現地の所得水準からすると“少し高め”ですよね。ボリュームの多い中間層の子どもたちに手にとってもらうためには、少しハードルが高いのではないでしょうか。
中原: まず「ポッキーってどんな味がするのか」を知っていただかなければいけません。そこでサンプリングを行ったのですが、日本では考えられないことをしたんですよ。
土肥: ん? 街中で配ったのではなくて?
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