YKKのファスナーが、他社に追随されない理由:数字のオモテとウラを学ぶコラム(1/4 ページ)
洋服やカバンのファスナーを手にしたとき、「YKK」というロゴを見たことがある人も多いのでは。YKKファスナーの世界シェアは45%とも言われていますが、なぜそんなに数値を維持できるのでしょうか。その理由は……。
数字のオモテとウラを学ぶコラム:
企業のWebサイトを見てみると、プレスリリースのほかにも、決算情報や月ごとの業績資料など、参考になる情報がたくさん眠っています。主にマスコミや専門家向けに公開されているものですが、実はビジネスパーソンにとってもためになる資料なのです。「企業→マスコミ→自分」という情報の流れのほかに、「企業→自分」という情報の流れを持つことは、スピード感が求められる今のビジネス社会では、大きな“武器”になるでしょう。
この連載では、企業が発表するプレスリリースや決算短信などを題材に「なぜこのような発表が行われるのか?」「この発表の舞台裏では何が起こっているのか?」「今後、この企業はどうなるのか?」という疑問に対して、著者がときに答え、ときに推測します。
著者プロフィール・眞山徳人:
公認会計士。大手監査法人にて、監査業務のほか、管理会計の導入から経営ビジョンの策定にいたるまで、さまざまな種類のコンサルティング業務に従事。また、大学や大学院でのインターンシップ研修の運営や各種企業研修での講師も担当。
難しい会計やビジネスの世界を分かりやすくひも解き、「中学生でも分かるように」説明することを信条としており、書籍や雑誌でも物語や漫画などの形式で会計の仕組みを解説している。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。誠ブログ「公認会計士まーやんの『ロジカるつぼ』」を連載中。近著に『江戸商人・勘助と学ぶ 一番やさしい儲けと会計の基本』(日本実業出版社)がある。
いきなりですが、ご自身が着ている洋服がどこで作られているのか、ご存じですか?
ブランドものを着ている人ならイタリアやフランスかもしれませんし、ファストファッションを活用している人なら、中国製、ベトナム製、インドネシア製といったところでしょう。もちろん、中には、国産の洋服や、都内のテイラーで仕立ててもらったスーツを着ている人もいるでしょう。
最近は「食糧自給率を向上させよう」という機運が高まっていますが、実は「食」のみならず「衣」についても、知らず知らずのうちに私たちは海外の製品を身に着けています。しかし、例外もあります。それは「ファスナー」。洋服のほかにも、カバンやブーツにも欠かせないアイテムですが、実は日本のとある企業が圧倒的なシェアを誇っているのです。
手持ちの洋服をいくつかピックアップして、ファスナーを見てみると「YKK」と刻印されているものがあるはず。ルイ・ヴィトン、グッチのような高級路線から、リーバイス、ナイキ、アディダスといったカジュアル路線まで、ともかく名だたるブランドがそろってYKKのファスナーを採用しているのです。
YKKのファスナーが、どのくらいスゴいのか? 企業が公表している業績データをもとに分析してみます。
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