YKKのファスナーが、他社に追随されない理由:数字のオモテとウラを学ぶコラム(2/4 ページ)
洋服やカバンのファスナーを手にしたとき、「YKK」というロゴを見たことがある人も多いのでは。YKKファスナーの世界シェアは45%とも言われていますが、なぜそんなに数値を維持できるのでしょうか。その理由は……。
グループの2大事業は「ファスナー」と「窓」
分析の対象は「YKK株式会社」とそのグループ会社(以下、YKKグループ)。YKKグループには大きく2つの事業があります。
(1)ファスニング事業
1つめが「ファスニング事業」。ファスナーの言葉は「Fasten(=留める)」という単語から派生したものなのですが、YKKではファスナーのほか、スナップボタンや樹脂テープなど、まさに「留める」ためのものを手掛けています。
Webサイトの商品カテゴリを見るだけでも(参照リンク)、いかに私たちがお世話になっているかが、お分かりいただけると思います。
ファスニング事業も細かく分けると2つの分野があります。1つめが「アパレル分野」。私たちが頻繁に利用するファスナーはもちろんこちらの分野の製品です。先ほど挙げたように、世界のトップブランドからファストファッションまで、さまざまな種類の顧客を全世界に抱えています。
もう1つの分野が「汎用資材分野」。洋服以外でも、例えば自動車のシート部分やカバンなどに用いるファスナー類を生産しています。例えば自動車の内装だけをとっても、私たちの目の見えない部分で、YKKの製品が活躍しています(参照リンク)。
(2)AP事業
もう1つが「AP事業」。「YKK AP」という会社のCMをご覧になったことがある方も多いのでは。住宅やビルの窓、ドアと言った開口部と呼ばれる部分の建材を中心に生産しています。こちらもWebサイトをご覧いただいたほうがイメージしやすいでしょう(参照リンク)。
ファスニング事業が欧米や中国など、まさに世界中で販売されているものであるのに対し、AP事業はどちらかというと国内の住宅事情などを考慮した製品展開をしているという特徴があります。
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