YKKのファスナーが、他社に追随されない理由:数字のオモテとウラを学ぶコラム(3/4 ページ)
洋服やカバンのファスナーを手にしたとき、「YKK」というロゴを見たことがある人も多いのでは。YKKファスナーの世界シェアは45%とも言われていますが、なぜそんなに数値を維持できるのでしょうか。その理由は……。
YKKファスナーは世界中で売れている
YKKのグループ売上は6969億円。ファスニング事業の売上は2886億円ですが、そのうち国内売上は320億円程度。売上のほとんどが中国・アジア圏や欧米各国に対するものです。
欧州向けに売られているのはルイ・ヴィトンなど高級服飾ブランド向けだと思われますが、中国やインド向けの売上は、ユニクロやGAP、ナイキ、アディダスといったグローバルなメーカーに対するものが非常に多くなっています。すなわち、YKKファスナーの世界的な商流を図式化すると以下のようになります。
当然、利益もスゴい
YKKのファスニング事業の収益性を追跡してみましょう。
2008年度に起きたリーマンショック以降の円高トレンド、2010年度の東日本大震災などのネガティブな要素があった時期でも、営業利益率が概ね10%を上回っています。
洋服は高級ブランド品を除けばある程度の量産が可能ですし、ファストファッションの台頭などで価格競争も激化しつつある市場です。YKKはその中の一部のパーツを引き受けているのに、利益率がなかなか低下しない……なぜなのか。
その秘密は、YKKの圧倒的な市場シェアにあります。ファスナー市場はいわゆる一極集中の状態で、YKKのファスナーは、全世界で45%のシェアを占めると言われています。このような市場の場合、たいていは「2番手グループ」が追いかけてきて、やがて独占状態が崩れていくケースが多いのですが、そうはならないのがYKKのスゴいところ。
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