配って、売れて、パクられて――ポッキー海外物語:仕事をしたら“インドネシア”で売れた(5/7 ページ)
江崎グリコの「ポッキー」が、海外で広がりつつあることをご存じだろうか。インドネシアでは2012年から本格的に展開しているが、売上目標を軽く上回る勢いだ。その理由は……。
スーパーでは類似品が並んでいる
中原: グローバル企業の商品は、単純な工程で作ることができるモノが多いんですよ。金型にチョコレートを流し込んで終わり――といった感じで。ウエハースが入っている商品の場合でも、金型にチョコレートを入れて、ウエハウスを入れて、またチョコレートを入れて、冷やして――といった感じて、ひと手間加わるくらい。
一方のポッキーは、軸になる棒(プリッツ)を焼かなければいけません。そして、焼いた棒にチョコレートを付けて、冷やす。できあがったらそれを箱に詰めなければいけないのですが、ポッキーは折れやすいのでていねいに梱包しなければいけません。
土肥: 運んでいる間に折れてしまったら、商品になりませんからね。
中原: ひと手間、ふた手間かかってしまうので、ポッキーのような効率の悪い商品は、グローバル企業はなかなか真似ができないんですよ。ということで、ポッキーの類似品はなかなか出てこなかったのですが、インドネシアで売れ始めると、現地メーカーなどがよく似た商品を出してきたんですよ。
土肥: ちょっと待ってください。インドネシアで本格的な展開を始めたのは2012年ですよね。2年やそこらで、そんなことができるのでしょうか?
中原: 「ポッキーが売れるんだったらウチも……」という感じで、商品が開発されたのでしょう。現地のスーパーなどで、ポッキーとよく似た商品が並んでいます。味を比べるとクオリティの差を感じていただけると思うのですが、パッケージがよく似ているんですよ。なので、買い慣れていないお客さんからすればなかなか区別がつきにくい。
土肥: そこが狙いかも。
中原: そうなんですよ。インドネシアでポッキーの認知度はまだまだ高くありません。スーパーの棚でよく似た商品が並んでいたら、そちらの商品を購入されるかもしれない。
関連記事
- なぜミニストップのソフトクリームは真似されないのか
某コンビニのPB商品がヒットすれば、競合他社が同じような商品を販売する――。コンビニは“真似の歴史”を刻んで、拡大してきたわけだが、真似されないモノもある。そのひとつが、ミニストップのソフトクリーム。その理由は……。 - YKKのファスナーが、他社に追随されない理由
洋服やカバンのファスナーを手にしたとき、「YKK」というロゴを見たことがある人も多いのでは。YKKファスナーの世界シェアは45%とも言われていますが、なぜそんなに数値を維持できるのでしょうか。その理由は……。 - 30年前に生まれた自販機アイスが、今も増え続けているワケ
「セブンティーンアイス」をご存じだろうか。ショッピングセンターや公園などで設置されている自販機アイスのことだが、登場してから今年で31年目。商品を扱っている江崎グリコに売れ続けている理由を聞いた。 - なぜ、“うどん県”からチェーン店が出てこないのか
「丸亀製麺」「はなまるうどん」「つるまる」――。讃岐うどんを扱っているチェーン店を調べてみると、ある共通点があった。それは、どれも本社がうどんの本場・香川県でないこと。その理由について、香川大学大学院の高木知巳准教授に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.