地方都市で新しい企業が生まれるにはどうしたら?――福岡市の試み:サイボウズ 青野慶久氏×福岡市 合野弘一氏(2/6 ページ)
9月の内閣改造で地方創生担当大臣が新設され、いま再び「地方」が注目されている。地方行政がさまざまな形で地域経済の活性化に取り組んでいる中で、福岡市がユニークな試みを始めている。それは……。
地方でエンジニアを見つけることが難しかった
合野: サイボウズが起業したのは、愛媛県の松山市。なぜ、松山市で起業しようと思われたのでしょうか?
青野: 立ち上げメンバーの中に松山出身の人間がいたこともあるのですが、最大の理由は家賃が安いから。私たちの仕事は、インターネットでソフトを売ることなので、場所はどこでもよかったんですよ。
合野: 東京に比べて地方の家賃は安いのですが、人材の問題がありますよね。地方には、いわゆる“スゴい人”が少ないので、なかなかそうした人たちの中でもまれることができない。「東京で刺激をもらわなくてはいけない」という理由で、上京する人も少なくないんですよ。
青野: そこだと思います。私たちも松山を出た理由は「人」。腕のいいエンジニアを見つけることが難しかったんですよね。次に、大阪に移ったのですが、そこでも腕のいいエンジニアを見つけることが難しかったので、いま東京に拠点を置いているんです。
合野: でも、海外は違いますよね。日本のように東京一極集中しているところは少ない。
青野: 少しずつですが、日本も変わってきているのではないでしょうか。プロ野球をみると、昔はパ・リーグの試合を見る人が少なかったですよね。でも、今は違う。日本ハムは北海道、楽天は仙台、ソフトバンクは福岡といった感じで、地方都市に根付いてきています。
合野: とはいえ、日本はまだまだ東京一極集中。例えば、米国では分散していますよね。
青野: 米国の地方都市は特徴があります。東部は金融やメディア、西部はIT、南部は宇宙産業、中西部は製造業といった感じで。特徴がそれぞれ違うので、その特徴に合った人材が集まっています。一方の日本は、なにもかもが東京ですよね。
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