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CSで敗退した広島カープは何を逃したのか 球団が描いていた“2つの皮算用”:臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(4/4 ページ)
プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)で、広島カープが敗退した。球団側はファンの熱い支持を受けながら23年ぶりのリーグ優勝を悲願としていたが、同時に「2つの皮算用」を目論んでいた。それは……。
メジャー移籍が見送られた背景
前田の今季成績は11勝9敗、防御率2.60。極端に悪い数字ではないが、やはり「エース」としては物足りない。しかし逆に言えば、いくら物足りないといってもエースはエース。その前田に代わって穴埋めできる投手を新たに探すとなれば、カープには相応の資金が必要になってくる。だが見込んでいた譲渡金が2000万ドルに到達せず、さらに格安の額となってしまうとなると、球団側としても簡単に認めるわけにはいかない。エース前田の今オフのメジャー移籍が見送られた背景には、こういう理由があったのである。
「チームがリーグ優勝、もしくは日本一へ輝けば『カープを躍進に導き、大目標をやり遂げたエース』としてカープファンも前田をきっと快く送り出してくれるだろう。だから前田が来シーズンに八面六臂(はちめんろっぴ:多方面にわたって活躍をすること)の活躍を成し遂げてメジャーの評価を上げることができれば来オフ、ポスティングシステムを使っての移籍を容認しようという雲行きになるかもしれない」(カープ球団関係者)
とはいえ、一大旋風を巻き起こしたはずのカープが最後に呆気ない幕切れを迎えたことで“巨額なカネ”を失った事実は消えない。
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