過去3年で42%増! 横浜DeNAベイスターズのファンが増えている理由:仕事をしたら“ファン”が増えた(6/7 ページ)
プロ野球のペナントレースが終了した。3年前に誕生した「横浜DeNAベイスターズ」の成績は6位、5位、5位と低迷しているが、観客動員数は増え続けているという。その理由について、同社の池田純社長に聞いた。
スタジアムを「開放」したい
土肥: 少しイジワルな質問をさせてください。スタジアムに足を運ぶ客は横浜市民が多いようですが、「チーム=横浜」というイメージが弱いのではないでしょうか。うまく言えないのですが、阪神や広島などと比べて地域の人たちとの密着度が低いような気がするんですよ。
池田: ご指摘いただいたように、アンケート調査でもそのような結果が出ています。「横浜」と聞いて何を想像しますか? と聞いても「横浜スタジアム」を挙げる人が少ない。話は少し変わりますが、もしドイさんが外国人観光客に横浜を案内するとき、どこを紹介しますか?
土肥: うーん、山下公園やベイブリッジかな。
池田: ドイさんのような人が多いんですよ。でも、球団を経営する立場の人間として、それではいけないと思っています。例えば、米国のボストンは違うんですよ。ボストンの観光ガイドブックをみると、大リーグ・レッドソックの本拠地「フェンウェイ・パーク」が紹介されています。なんだそれだけのこと? と思われるかもしれませんが、この違いは大きいんですよ。横浜にはプロ野球の球団があって、スタジアムがあって、野球を楽しむことができる――といった感じで文化的な存在に変わっていかないと、“プロ野球が好き”という人しか来てくれません。
やっぱりそれではいけないと思うんですよ。存在価値が伝わっていなければ、その価値をこちらから伝えていかなければいけません。
土肥: どのように伝えていかれるのでしょうか?
池田: 「街づくり」をしっかりやっていく必要があるのではないでしょうか。横浜公園の中にスタジアムがあるのですが、横浜公園をもっと魅力的な公園にできないかなあと思っています。交通量調査をしても、試合がない日は人が少ない。そうではなくて、普段の日でもたくさんの人を集めることができないか。その方法のひとつとして、スタジアムを開放できないかと。近くで働くサラリーマンが昼休みに「ちょっと横浜スタジアムに行って、キャッチボールをしない?」といった会話がでてくると、街が変わっていくと思うんですよ。
土肥: それはいいですね。それにしても、なぜ「開放しよう」と思われたのですか?
池田: その昔、ライブ会場の中に録音機を持ち込んではいけなかったですよね。でも、今は違う。もちろん禁止のケースもありますが、録音可のライブが増えてきました。こうした動きをみていると、今の時代は「外に見せる」「開けていく」ことが重要なキーワードになっていると思うんですよ。
試合がない日、横浜スタジアムは閉じていますが、なんとか開けることができないか。現在関係者と調整中ですが、開けることによって公園の雰囲気がよくなるかもしれない。そうすると、イベントが増え、人が集まるかもしれない。
土肥: 試合がないからといって、使わないというのはもったいないですよね。
池田: もったいないですよ。
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