膨張する日本の医療費にストップ! ファンケルが予防医療を新たな主戦場に:理想は“ピンピンコロリ”(2/2 ページ)
総人口の4分の1が65歳以上、8分の1が75歳以上と、世界に先駆けて高齢社会に突入している日本。その結果、医療費は税収に迫る勢いで増え続けている。そうした中、人々が「病気にならないこと」を目指し、新たな事業に参入したのがファンケルだ。
20年間の実績を生かしたサプリメント
今回、ファンケルヘルスサイエンスが打ち出したグッドエイジングプログラムは、具体的にどのような特徴があるのだろうか。まず、遺伝子検査については、健康院クリニックと提携し、科学的根拠を持たせた検査キットを開発した。
検査は、口腔内の粘膜から綿棒で遺伝子を採取するだけの簡単な方法で、肥満やインスリン抵抗性、体内老化(酸化・糖化)という基本項目に加えて、血栓症や高血圧症、骨粗鬆症などの発生リスクを把握できるという。遺伝子を採取して約1カ月で、医師からの「遺伝子検査結果報告書&運動・栄養アドバイス」と、健康カウンセラーからの「パーソナル・アドバイスシート」が検査を受けた者の手元に届く。
健康カウンセラーは、一人一人の健康状態やニーズに合わせて、食事や運動などの生活習慣の改善アドバイスや最適なサプリメントの提案を行う。現在、ファンケルグループには管理栄養士や薬剤師などの有資格者をはじめ約200人のカウンセラーを配備する。
専用サプリメントに関しては、同社が20年にわたり健康食品事業で培った知見や研究開発実績を基に開発したもので、「生活習慣病やQOL(生活の質)低下の予防に着目したエビデンスのある商品」(ファンケルヘルスサイエンス・青砥弘道戦略推進本部長)だとする。まずは代表的な生活習慣病をターゲットに、血管の詰まりを防ぐ発芽玄米成分「PSG」や、酸化および糖化をコントロールする「還元型ケルセチン」を配合したサプリメントなど5種類を提供するが、将来的には製品ラインアップを拡充していく考えだ。
新事業として立ち上がったファンケルヘルスサイエンスの予防医療事業だが、当面は啓蒙活動が中心になるという。その背景には、日本における予防医療の認知度がまだ低いという実情がある。セミナー開催などで少しずつ世の中に普及させていき、2017年度には数十億円規模の事業に育てたいとした。
関連記事
- INSIGHT NOW!:医療費が高くなる? 「混合診療」拡大問題、なぜ賛否が分かれたのか
安倍政権が掲げる医療の規制緩和策。特に混合診療の対象拡大については、当初医師会が反対をするなど賛否が分かれた。混合診療の何が問題になっており、実現すると何が起こるのかを解説しよう。 - INSIGHT NOW!:「高齢=幸福」ではなくなる――高齢化社会における“本当の”問題とは?
老いをネガティブに捉えている人にとっては意外かもしれないが、人は高齢になるにつれて幸福度が上がっていくという研究結果が出ている。「幸福感のパラドックス」と呼ばれるこの現象は、今後崩れていく可能性が高い。それはなぜなのか。 - 藤田正美の時事日想:日本が衰退していく、3つの理由
英エコノミスト(11月20日号)が、「日本の重荷」というタイトルで特集を組んでいる。その特集の中で、日本の経済力が衰退していく3つの理由を指摘している。その理由とは……。 - 窪田順生の時事日想:少子高齢化の切り札? 独身男を襲う「カニばさみ」の恐怖
厚労省の調査によると、独身女性の3人に1人は「専業主婦になりたい」だったが、独身男性の5人に1人は「専業主婦になってほしい」。今の若い男は甲斐性なしね、といった声が聞こえてきそうだが、男女間の経済感覚の“ギャップ”を解消しなければ、大衆は踊らないだろう。 - サプリメントを買う場所、「ネットショッピング」がトップに
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.